研究課題/領域番号 |
23320011
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉水 千鶴子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (10361297)
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研究分担者 |
佐久間 秀範 筑波大学, 人文社会系, 教授 (90225839)
小野 基 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00272120)
船山 徹 京都大学, 人文科学研究科, 教授 (70209154)
武内 紹人 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10171612)
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キーワード | チベット仏教 / カダム派 / カシミール / 中央アジア / インド後期仏教 / 僧院仏教 / 仏典翻訳 |
研究概要 |
本研究は新出カダム派写本と仏教文献による思想史研究と、カダム派による仏教教学形成の基礎となった10~12世紀における周辺地域からのチベットへの仏教伝承事情を探る歴史研究を軸とする。 思想研究として本年度行った研究実績は以下の4点である。 1)シャン・タンサクパ著『中観明句論註釈』写本の校訂テキスト第1分冊を完成し、ハーヴァード大学カン・デア・カイプ教授の協力を得て、次年度の出版準備を行った(吉水)。 2)チャンドラキールティ著『明句論』に受容されるディグナーガ論理学について解明し、発表と講演を行った(吉水)。 3)瑜伽行思想の歴史的展開を論師ヴァスバンドゥと転依思想について解明、発表した(佐久間)。 4)仏教論理学の基礎である他者のための推論の形式と歴史的変遷について解明し、発表した(小野)。 歴史研究として、以下の3点を行った。 1)カシミールに関する資料収集し、『カシミール王統史』から10~12世紀に関する記事、人名、地名等を集めてデータベースを作成した(吉水、岡田)。 2)西北インドに関する漢語資料を収集し、インドと中国、西域の人的交流、仏教の戒律の伝播事情,印度人翻訳僧眞諦の事跡について研究、発表した(船山) 3)中央アジア出土チベット語文献であるスタイン・コレクションの資料を研究し、8210番の解読研究を行い、出版した(担当:武内)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『カシミール王統史』のデータ収集が進展した。 『中観明句論註釈』の読解が進み、時代背景の解明に踏み込むことができた。 漢語資料、中央アジア出土資料の分析が進み、利用できる資料の特定ができた。
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今後の研究の推進方策 |
『カシミール王統史』『チベット大蔵経奥書』からのデータ収集を続ける。新たに用いる資料について検討する。 『中観明句論註釈』校訂テキスト第1分冊を平成24年度に、第2分冊を平成26年度に出版する。 平成24年10月21日にTransmission of Buddhist text sand thought to Tibet from neighboring countriesと題した国際シンポジウムを開催する。 平成25年9月に国際ワークショップを開催し、カダム派資料の共同研究を行う。 これらの成果を統合した論文集の作成を目指す。 研究計画の変更はとくに行わない。
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