| 研究課題/領域番号 |
23320021
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| 研究機関 | 東洋英和女学院大学 |
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研究代表者 |
岩田 和子(渡辺和子) 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (00223397)
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| 研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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| キーワード | アッシリア / エサルハドン / タイナト / 誓約 / アッシュル / ニムルド / 申命記改革 / 神との契約 |
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| 研究概要 |
2009年にトルコのテル・タイナト（古代のクナリア、クヌルア）の至聖所から発見された文書の一つは巨大な粘土板文書であり、紀元前672年にアッシリア王エサルハドンが発行した、ニムルド出土の「エサルハドン王位継承誓約文書」（ニムルド版）として知られていたものの副本であることが判明した。2012年にはJ. Lauingerによってその内容が公開された。それに基づいて新知見が何であるか、発見の意味、そこから類推できることなどについて独自の考察を加え、学会や研究会などで発表した。
１．アッシュルバニパルをアッシリアの、シャマシュ・シュム・ウキンをバビロニアの王位継承者とするエサルハドンの定めを順守することをアッシリア内外の要人に誓わせた際に発行された誓約文書が、タイナト版発見によって、他にもおびただしい部数が存在しているという研究代表者の説が傍証された。
２．Lauingerが指摘したように、タイナト版は当時、アッシリア本国からクナリアに派遣された代官とその部下のために発行されていたことから、テル・タイナトが古代のクナリアであることが確証された。このことからメディア地方の首領たちに発行された、少なくとも9部が発見されているニムルド版とは文言が少し異なる「代官版」ともいうべきものが存在したことを想定した。さらに、誓いを立てた人物の立場や役職によって文言が少し異なるいくつかの版が存在したという説を唱えた。
３．タイナト版が至聖所に安置されていたことは、この誓約文書中にあるように、神アッシュルの印章が押されたこの粘土板文書を「あなたがたの神として守る」ことが実践されていたことを窺わせる。そのような実践が、当時のアッシリアの支配下にあった古代西アジアの広い範囲でみられたことは、少し後のヨシヤの申命記改革に見られる、神との契約文書を中心に据える一神教の整備に影響を与えた可能性があることを主張した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
重要文献としての「エサルハドン王位継承誓約文書」の新発見タイナト版が2012年に公刊されたことにより、研究が大幅に進展した。
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| 今後の研究の推進方策 |
「エサルハドン王位誓約文書」の本文をタイナト版によって、また2009年に発表されたアッシュル版によって補完しながら、より精密な翻訳を作成する。さらに他の誓約文書も含めて、古代西アジアの契約や条約とされるものとの比較研究を進める。
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