研究課題/領域番号 |
23320026
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
松居 竜五 龍谷大学, 国際文化学部, 教授 (40238952)
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研究分担者 |
橋爪 博幸 桐生大学短期大学部, 生活科学科, 講師 (40412978)
奥山 直司 高野山大学, 文学部, 教授 (50177193)
安田 忠典 関西大学, 人間健康学部, 准教授 (90388413)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 仏教 / 環境 / エコロジー / 民俗学 / 科学史 |
研究概要 |
2012年1月に科研メンバーとRAが中心となって刊行した『南方熊楠大事典』に関して、5月6日に執筆者10名程度が参加して合評会をおこなった。またこの前後に執筆者からの訂正部分を取りまとめた。この事典はさいわいにも学術的評価とともに売れ行きもよかったために、2013年春に再版が予定されており、その際にこの結果を反映できる予定である。8月7~9日には田辺市の南方熊楠顕彰館において合宿研究会をおこない、本研究代表者の松居竜五、分担研究者の安田、奧山の他に、RAの田村義也、志村真幸、および他の関連の研究者8名程度が参加して、2012年3月に刊行された『季刊民族』の特集「南方熊楠と民俗学」の合評会をおこなった。また、古田幸吉宛南方熊楠書簡の調査や「ロンドン抜書」に関する研究会を開催した。 南方熊楠顕彰館においては、10月6日~11月4日に月例展として「F・V・ディキンズ」の展観を松居と本科研の連携研究者である千本英史が展観を担当して開催し、10月27日には、松居・千本および岩上はる子によるシンポジウムを開催した。さらに3月26日から5月6日の予定で特別展「南方熊楠の同級生たち」をおこなっているが、こちらも松居、安田、田村が展観を担当しており、本科研の成果を多く用いている。 一方、東京、関西、田辺で続けている研究会では、南方熊楠の日記の未解読の部分の翻刻をおこなうとともに、研究に関する情報交換をおこなった。この研究会のために、RAの田村が毎月関西への出張をおこなっている。また、2013年度に集英社から刊行する予定の『南方熊楠英文論文〔ノーツ・アンド・クエリーズ〕篇』の編纂のために、松居およびRAの志村が東京に出張して計10回の研究会を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年度に『南方熊楠大事典』を初め、いくつかの関連の出版物を成果として発表したことから、2012年度はこれらの著作に基づいて合評会などを多くおこなった。また、南方熊楠顕彰館を中心として、研究会・講演・展観などの点でも充実した成果発表をおこなっている。東京・関西・田辺で継続している研究会も、すべて毎月順調におこなわれた。これらの研究の結果、南方熊楠の思想展開に関する実証的な研究をより精緻なものとするための多大の貢献をなすことができたと考えている。 その一方で、2013年度は刊行物の点では多少遅れがあり、予定していた『南方熊楠英文論文〔ノーツ・アンド・クエリーズ〕篇』、『南方熊楠・白井光太郎往復書簡』はほぼ仕上がり、入稿段階にあるものの、刊行自体は来年度に持ち越しとなった。また、『南方熊楠日記』の1914年度以降の部分に関しては、平凡社東洋文庫からの刊行が決定しているが、編集作業に手間取っており、もう少し時間がかかる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度に関しては、【現在までの達成度】に記した刊行物の発表に力を注ぐことになる。また、田辺市の南方熊楠顕彰館において、8月初めに合宿研究会を予定している。さらに9月29日に龍谷大学において、南方熊楠顕彰館と南方熊楠記念館(白浜町)の合同の研究発表会としての南方熊楠ゼミナールを開催する予定であり、その中心的な部分として本科研の成果の発表を準備している。 今年度からさらに将来を見越した展開としては、現在続けている東京・関西・田辺での翻刻作業の間の連絡関係をさらに強化し、全体として南方熊楠研究の全国的なネットワーク組織を形成することを検討している。刊行物としては、懸案である南方熊楠日記後半分に力を注ぐとともに、「ロンドン抜書」や英文来簡などを中心とした『南方熊楠欧文資料集』を、龍谷大学から刊行したいと考えている。「ロンドン抜書」に関しては、そのための研究会を継続するとともに、「課余随筆」「田辺抜書」などの南方熊楠の他のノート類との連関性の研究を進める予定である。
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