研究課題/領域番号 |
23320044
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研究機関 | 国立音楽大学 |
研究代表者 |
片岡 雅子(横井雅子) 国立音楽大学, 音楽学部, 教授 (00383688)
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研究分担者 |
加賀美 雅弘 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60185709)
白石 美雪 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (60298023)
森 太郎 国立音楽大学, 音楽学部, 准教授 (40335782)
薩摩 秀登 明治大学, 経営学部, 教授 (70211274)
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キーワード | 楽器製造 / 伝統の継承 / 体制転換 / 観光化 / 地域再生 / 国際情報交換 ドイツ |
研究概要 |
研究の目的 17世紀から楽器製造で知られたドイツとチェコの国境地帯において、共産主義体制下では(ドイツは東ドイツとして)安価な大量生産品の楽器を主に送り出していたが、共産主義体制下で形を変えつつ生き残ったその伝統が1989年の体制転換を経た現在どうあり、将来どのようにあり続けようとするのかを検証するプロジェクトであり、当該年度はその初年度として予備調査を行うことを目的とした。 研究実施計画に基づく実績 ①ドイツ側―ドイツ統一を経た旧東ドイツ地域の調査地では、楽器製造の会社と個人の楽器工房が共存することでこれを町の特色とし、地域再生のアイコンとして打ち出しつつ、博物館や多様なイヴェントとも連動させた観光化も進めている様子を確認した。また、楽器作りの伝承を系統的に進める学校が特色ある産業を打ち出す地域と密に連携をとりながら機能している様子も当事者たちへの聞き取り調査も交えて確認することができた。 ②チェコ側―ドイツにごく近く、多くの楽器と職人を送り出した歴史を誇ったチェコでは、体制転換後は楽器産業が衰退に転じていることが当該地域の二つの町において確認できた。実地に確認することができなかったが、聞き取り調査を通して楽器製作を主とする学校が休校に追い込まれていることが判明し、系統的な伝承も先細り気味である様子がうかがえた。この地域製の楽器のコレクションの公開、楽器産業と結びつけた観光化も、今回の調査で確認できなかった。これは次年度の課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度では計画していたチェコでの調査が研究者の一部(具体的には横井と連携研究者の薩摩秀登)と現地研究協力者・研究機関の都合と折り合わず、実施することができなかった。内容としては楽器製作を系統的に教授する専門学校における調査であり、実地に学校を視察し、技術の伝承に携わる教員の教授の様子や教育体系を確認することが不可欠であったため、この部分は次年度に繰り越して実施することとなった。 他の研究課題内容は概ね計画通りに達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度において実施した予備調査に基づき、次年度以降はより詳細な調査と、調査地において製作された楽器が単に売り物としてだけでなく、地域のイベントにどう取り込まれ、どのように観光産業に貢献しているのかを考察することが主となる。後者の部分については、ドイツ側で実施する。 一方、調査実施を見送ったチェコでの課題を遂行することがもう一つの大きな柱となる。楽器製作を系統的に教授する専門学校を実地に視察し、技術の伝承に携わる教員の教授の様子や教育体系を確認することが主たる内容である。
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