研究課題/領域番号 |
23320044
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研究機関 | 国立音楽大学 |
研究代表者 |
片岡 雅子(横井雅子) 国立音楽大学, 音楽学部, 教授 (00383688)
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研究分担者 |
森 太郎 国立音楽大学, 音楽学部, 准教授 (40335782)
加賀美 雅弘 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60185709)
白石 美雪 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (60298023)
薩摩 秀登 明治大学, 経営学部, 教授 (70211274)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 楽器製造 / 伝統の継承 / 体制転換 / 観光化 / 地域再生 / 国際情報交換 チェコ / 国際情報交換 韓国 |
研究概要 |
研究の目的―前年度にはドイツ・フォークトラントと、同地域と連続性をもつチェコ・西ボヘミア地域で予備調査を実施したが、当該年度は、ドイツ・クリンゲンタール市一帯で主要生産楽器であるアコーディオンとバンドネオンの使用を振興するために開催されてきた国際アコーディオン・コンクールの様子を調査し、同市が演奏者といかに連携し、また楽器使用を促進しようとしてきたかを探ることを目的の一つとした。さらに、23年度には実地に検分することのできなかったチェコでの楽器製造技術の継承の様子を検証すると同時に、楽器産業と地域振興、観光化の視点から他地域との比較も一部試みることを視野に入れた。 研究実施計画に基づく実績 ①ドイツ側―当該年度には地域で製造される楽器類が対象となるコンクールの実施期間に調査地を考察することで、楽器産業と観光化、地域振興の実態を検証することができた。調査地のクリンゲンタールはウィンタースポーツにより冬の間は観光客を誘致しているが、オフシーズンの観光化の有効な手立ての一つとなっている様子が確認された。 ②チェコ側―前年度に実施できなかった現地調査を通して、伝統的な地場産業である楽器製造業の全体的な落ち込みの様子を確認した。金管楽器製作を主たる産業とするクラスリツェは上記のクリンゲンタールと隣接し、競うように発展してきたが、体制転換後は大幅に産業規模が縮小し、楽器製造技術伝承のための教育機関も休止中であることを確認した。弦楽器製造で知られるルビでは二つの楽器製造会社の他に個人工房も機能しており、いくらか状況はよいと感じられるが、地元にあった楽器製作の専門学校が他市に移されたことで、技術伝承の将来が懸念される状態であることが確認できた。 ③楽器産業で著名な浜松市と、伝統音楽・芸能が国家的に振興されている韓国ソウル市において、地域振興と観光化の視点から比較調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
浜松市と韓国ソウル市での比較調査のうち、ソウル市では研究者、演奏者双方から楽器を通した伝統音楽・芸能の継承と、その発展的な実態を予定していたよりも詳細に知ることができた。ドイツやチェコとは規模が全く異なるために単純な比較をすることはできないが、国家的な振興が文化や文化産業に決定的な影響をもたらしていることが理解でき、比較調査としては予定以上の成果を挙げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度はドイツでの楽器をメインにしたイベントを通して観光化と地域再生の様子を確認する事例を増やす一方、ドイツ、チェコでの資料調査、聞き取りを通してこれまでの調査内容を確認し、まとめる方向である。 可能であれば、前年度比較調査を行ったソウル市における芸能の実態を実際の公演を通して見ることも考えたい。 最終的には年度内に報告書を作成する予定である。
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