台湾と八重山諸島との音楽文化の伝播・交流についての調査・研究を通して、ハーリーや獅子舞などの芸能に見られる類似性や、石垣島の台湾系住民による音楽行動について着目した。ハーリーは、中国や台湾でおこなわれる「賽龍舟」と起源を同じくするもので、八重山にもいくつか見られるし、八重山の獅子舞は台湾のものと酷似している。石垣島には、植民地期以来約500名の台湾系住民がおり、琉球華僑総会八重山分会を組織している。その活動のなかで、「婦人部」が踊りを踊るなどの活動をしており、これは単なる余興の域を超え、「台湾人アイデンティティの継承」の役割を付されている部分があるということが明らかとなった。
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