研究課題
本研究の目的は、芸術表現の制作過程の動的分析を通して芸術表現の固有化のメカニズムを明らかにすることだった。本研究ではメディウムを単なる手段(mean)ではなく人間の意志に対向し、競合する自律した存在=抵抗物として捉え、この抵抗物との恊働が人間精神の創造を促し技術を成長させると考えた。具体的には絵画のメディウムとしての支持体(画材、画面)自体を描画者に対等に対向し運動する自律系として捉える。今年度の主な成果としては、本設計思想に基づいて、☆A:「相対運動描画ロボット」の製作に着手し、プロトタイプの実験装置を制作。☆B:この装置を用いた実証実験の実践。結果として描画過程における描く行為の所有感覚=主体感覚が可塑的に変化生成するメカニズム解明の糸口を見つけることができた。それは次の4点である。b-1:視覚的情報が触覚によって把握される。b-2:運動把握が、静止した触覚によっても得られる。b-3:複数の描き手による描画運動がそれぞれ追体験=内部的把握され、さらに描き手の差異が(視覚像によらず)把握されうる。b-4、この再生過程において、他者と自己の経験の境界が変更されて、どちらも(実験参加者の)主体的経験として再把持されうること。この成果の学会発表、及び東京都現代美術館にて各界の有識者参加によるデモンストレーションと研究会を開催した。基礎調査を終え関連問題群は以下の3つの主題に整理されたことも大きな成果である。1、描画習得過程にある学習者あるいは描画運動障害者に会得したい描画運動を直接経験させる補助装置としての可能性(上記A)。2、美術史的な様式判断および作家同定作業の基礎データに、描画過程のデータを加える可能性を与えたこと。データを蒐集することで、様式および作家同定作業に多角的な分析の可能性を与える。3、知覚と活動の所有感覚、主体感覚が持つ可塑性の解明(上記B)
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings in Information and Communications Technology
巻: Vol.7 ページ: 印刷中
Journal of Mechanics Engineering and Automation
巻: Vol. 4 ページ: pp.149-157
巻: Vol.6 ページ: pp.130-147
10.1007/978-4-431-54394-7_12