研究課題/領域番号 |
23320050
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
大橋 毅彦 関西学院大学, 文学部, 教授 (60223921)
|
研究分担者 |
佐々木 淳子 (井口 淳子) 大阪音楽大学, 音楽学部, 教授 (50298783)
榎本 泰子 中央大学, 文学部, 教授 (00282509)
藤田 拓之 立命館大学, 立命館グローバルイノベーション研究機構, ポストドクトラルフェロー (80572297)
|
キーワード | 芸術諸学 / ライシャム・シアター / 蘭心大戯院 / 上海租界文化史 |
研究概要 |
本研究会は、平成23年度においてはメンバー全員が参集しての研究会・情報交換会を5・7・10・1月に実施、また夏季と冬季には単独および小グループのかたちをとって上海とパリでの資料調査も行って、1930年代から1940年代前半にかけてのライシャム・シアターで繰り広げられた劇場文化を包括的に捉えるためには、どんな資料をどのように扱うのが有効であるのかを模索してきた。その際、俎上に上った資料は主として当時の上海で発行されていた各国語の新聞であり、短期間であたることのできた複数の新聞に掲載されている当該テーマに関わる情報の質と量とを全員で検討した結果、フランス語新聞「ル・ジュルナル・ド・シャンハイ」(法文上海日報)の文化欄(とくに音楽やバレエといった劇場文化に関わる部分)が、他の外字新聞と比べて充実していることに関心が向けられていった。そこで本研究会は、ライシャム・シアターおよびその周辺の劇場文化を考察する上では第一級の資料であり、マイクロデータのような完備されたものがないため、この新聞を対象とした本格的な研究・調査はまだ行われるに至っていない「ル・ジュルナル・ド・シャンハイ」の網羅的な調査を当面の重点課題に設定した。そして、既に入手している1941年度の同新聞を用いてライシャム・シアター関連記事細目作成に着手するとともに、発行期間を違えてこの資料を部分的に所蔵しているフランス国立図書館(BnF)、上海図書館分館、京都大学図書館との連絡を図り、「ル・ジュルナル・ド・シャンハイ」の発行期間の全体にわたっての調査に進める条件をほぼ整えつつある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を進める際の第一の柱となる資料を絞り込むことができ、その入手と活用の仕方に関しても、国外の所蔵機関との交渉に予想以上の時間が費やされたが、当該年度内にあって一定の目途がついている。併せて他の外字新聞に関しての調査も行い、ライシャム・シアターをめぐる言説の多層性を考察していく手がかりも得ている。
|
今後の研究の推進方策 |
既に着手している仏語新聞「ル・ジュルナル・ド・シャンハイ」掲載ライシャム・シアター関連記事細目作成作業の現在までの進捗状況を平成24年度の早い時期に発表し、さらなる展開を図る。具体的には、(1)1930年代後半から1940年代前半にかけての細目の完成を目指す、(2)記事の集積によって見えてきたライシャム・シアターをめぐるエポック・メーキング的な事象・問題系に関して、メンバーの専門性を生かした調査研究を推進する、の二つの方向をバランスよく組み合わせていく。そして、それと並行して「ノース・チャイナ・ヘラルド」(英語)・「新聞報」(中国語)・「大陸新報」(日本語)からのライシャム関連記事の洗い出しも本格的にスタートさせ、それらの関係性についての考察も進めていく。
|