研究課題/領域番号 |
23320055
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
小嶋 菜温子 (勝原 菜温子) 立教大学, 文学部, 教授 (50204441)
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キーワード | 源氏絵 / 物語 / 近世初期 / 古典享受史 / 日本文化史 |
研究概要 |
幻の「源氏物語絵巻」と仮称する問題の絵巻について、その断簡の探索と周辺資料のための国内外調査活動を開始した。初年度は採択決定時期(2011年11月)の関係もあって、年度末を見据えてのタイト・スケジュールのなかでの計画実行となったが、研究代表者と連携研究者によるコア・メンバーの調査活動を中心として、研究協力者の参加も得て、当初の計画に沿った研究調査活動を推進することができた。 2011年度の国内調査地は、京都・名古屋-研究代表者:小嶋菜温子・青木慎一。海外調査地は以下のとおり。 ・アメリカ(ニューヨーク)-研究代表者:小嶋。 ・スイス・ドイツ・スウェーデン・ベルギー・フランス・アメリカ(ニューヨーク・プリンストン)-連携研究者:佐野みどり。 ・アメリカ(ニューヨーク)・スイス・フランス・スウェーデンー研究協力者:青木慎一。アメリカ(ニューヨーク)-連携研究者:高橋亨。 ・アメリカ(ワシントン・ニューヨーク)研究協力者:松岡知華・若杉準治。 上記の調査地において、各自が複数の所蔵機関を予算の範囲内で調査を行った(一部は共同調査)。 また、2012年3月12日に、アメリカ(ニューヨーク)のメトロポリタン美術館において、シンポジウム<物語>を開催し、研究代表者:小嶋菜温子、連携研究者;佐野みどり・高橋亨の三名もパネラーとして報告を行った。日米の研究者が参加する、有意義なシンポジウムとなり、幻の「源氏物語絵巻」の文化史的な背景の広がりを確認することができた。 年度末(2012年3月23日)には、シンポジウムを開催(於:学習院大学)。研究代表者:小嶋、連携研究者:佐野・高橋が報告をそれぞれ行い、研究協力者との意見交換の場を持つことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
採択決定時期が年度末近くであったので計画実行の難しさはあったが、短期間のあいだに研究代表者と連携研究者とのあいだでの調整をスムーズに行うことができた。そのため、思いのほか広域にわたる海外調査が可能となり、新たな資料収集の成果を上げることができた。年度末のシンポジウムにおいて、研究協力者全員との意見交換も持つことができたことで、2012年度に向けてさらに有意義な成果を収めることができるように、計画を練る準備に入ることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方法は、初年度の成果を踏まえつつ、当初の計画を実行に移すことを最優先する。国内調査の対象地を京都・名古屋だけでなく、大阪以西へと拡大していく必要もあるが、海外調査についてもその対象をさらに広げることも必須である。 とくに研究代表者は、幻の「源氏物語絵巻」の断簡発見の拠点となっている、フランス(パリ)を中心とした調査活動をする必要がある。それに際しては、パリの東洋言語文化大学のエステル・レジェリー・ボエール氏、ハイデルベルグ大学のメラニー・トレーデ氏との連携が不可欠となる。また、関連情報交換のために、アメリカの研究者との連携も一層深めていかねばならない。今年度も連携研究者の活動は続行されるが、とくに研究協力者全員による海外調査を重点的に計画している。ヨーロッパが今年度の調査対象の中心となる予定である。 上記活動をとおして得られた各自の成果は、年度末を見据えた時期に開催予定の報告会において集約し、完成年次(2013年度)における計画の仕上げの準備にかかる予定である。
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