研究課題/領域番号 |
23320055
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 絵巻 / 源氏物語 / 注釈 / 享受史 / 海外コレクション / 国内所蔵機関 / 美術史 / 国文学 |
研究概要 |
平成23年度に引き続き、幻の「源氏物語絵巻」の断簡の探索と周辺資料のための国内外調査活動を、研究代表者・連携研究者・研究協力者で手分けして行った(連携研究者の佐野みどり氏は平成24年度、海外調査が不可能ゆえ、23年度中に海外調査を集中して行った)。国内調査では23年度よりも広範囲な活動―名古屋・京都・大阪・奈良・松坂・宝塚の各所蔵機関における―を、研究代表者:小嶋菜温子、連携研究者:佐野みどり、研究協力者:青木慎一の連携のもとで行うことができた。平成24年度の海外調査の概要は以下の通り。フランス(パリ):小嶋菜温子・高橋亨・青木慎一。アメリカ(ニューヨーク):海野圭介。イギリス(ロンドン)・アイルランド(ダブリン):稲本万里子・松岡知華。ベルギー(ブリュッセル):小嶋菜温子・青木慎一。スイス(ジュネーブ):青木慎一。韓国(ソウル):小嶋菜温子。上記の調査地で、重点的に複数の所蔵機関を選び、予算の範囲内で調査を行った(一部は共同調査)。2012年11月4日に、立教大学日本学研究所主催・国際シンポジウム「日本学の現在と未来」において、シンポジウム「物語2012 語り・絵・『源氏物語』」を開催。研究代表者:小嶋菜温子、連携研究者:佐野みどり・高橋亨の三名の報告を中心に有意義な討論を行うことができた。また2013年1月7日に立教大学日本学研究所例会において、ミニ・シンポジウム「近世前期の絵と文学」を開催し、研究協力者の高岸輝・海野圭介による文学・美術史学の双方向からの意見交換を行った。さらに2013年3月19日に、慶應義塾大学・絵入り本国際集会主催の講演会で、「幻の源氏物語絵巻について」と題する講演を、研究代表者:小嶋菜温子が行った。同講演会では、フランスの研究協力者の一人、エステル・レジェリー=ボエール氏も同時に講演を行い、本プロジェクトの今後についても有益な情報交換ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロジェクト二年目の平成24年度は、研究代表者と連携研究者とのあいだでの調整がスムーズで、昨年度に増して広域にわたる海外調査が可能となり、新たな資料収集をめぐっての成果も上げることができた。年度末に立教大学日本学研究所主催のミニ・シンポジウムにおいて、研究協力者全員との意見交換を行うことができた。平成25年度の完成年度に向けてさらに有意義な成果を収めることができるように、計画を練ることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度が完成年次に当たるため、平成23・24年度の成果を踏まえつつ、当初の計画を実行に移すことに努める。海外調査については当初の計画どおり展開できていない調査地(オランダ等)も残っているが、当初の計画には含まれていない地域での調査も展開できた(ストックホルム等)ので、この二年間の実績を基に、予算の許す範囲で活動を積み重ねていく。国内調査も京都・名古屋・大阪・奈良などでの調査の成果に立ち、さらなる進展を期す。研究代表者は平成25年度の海外調査地をアメリカ(ワシントン・ニューヨーク)に定めるとともに、連携研究者や研究協力者も予算の許す範囲でヨーロッパ(スイス・パリ等)での調査を進める。7月には立教大学日本学研究所において国際シンポジウム「幻の源氏物語絵巻をもとめて・続」を開催。海外からエステル・レジェリー・ボエール氏(パリ・INALCO)、メラニー・トレーデ氏(ハイデルベルグ大学)、渡辺雅子氏(元メトロポリタン美術館主任学芸員)、国内からは若杉準治氏(京都国立博物館名誉館員)、吉川美穂氏(徳川美術館学芸員)、五十嵐公一氏(兵庫県立歴史博物館学芸員)を招聘し、美術史学と文学研究の知見を集約することとする。
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