成果の発表として、大規模な催しを二つ開催した。一つは「特別展示 韓国古版画博物館名品展」(国文学研究資料館展示室、会期2015年10月31日から11月20日)である。これは、韓国古版画博物館から東アジアの版画優品100点を借用して展覧したもので、韓国の古版画を日本国内で展示紹介する初めての催しであった。内容も、韓国の古版画を中心に、中国・モンゴル・チベット・日本など、東アジア各国の古版画を、歴史的・系統的に展示し、東アジア古版画史を一覧出来るような展示であった。特別展示については、『仏教タイムス』『統一日報』『東洋経済日報』等によって記事として採りあげられた。 もう一つは、「国際ワークショップ 東アジアの絵入刊本」(国文学研究資料館、2015年10月17日)である。中国、韓国、ベトナム、日本に関する絵入刊本についての研究会成果発表会で、韓国から2人、ベトナムから1人の研究者を招聘し、日本の研究者を交えて、東アジアの絵入刊本に関する有意義な討論を行うことが出来た。同時に韓国と日本の現在の版画制作に関するワークショップを行った。こちらも、韓国から2名、日本から1名の版画制作者を招き、二国間の版画制作技術の違いや類似などを比較検討することが出来、古代についての研究を深める端緒となった。 特に特別展示については、当初計画していたものではなかったが、研究の進展とともに、古版画博物館と良好な関係を築くことが出来、また日韓国交正常化50周年の節目の年でもあることから、開催することとなった。 そのほか、研究代表者入口は、韓国において2件、中国において1件の絵入刊本に関わる研究発表を行った。また、その機会を通じて、各国の研究者と交流を深め、情報の交換を行った。
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