研究課題/領域番号 |
23320061
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大橋 洋一 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (20126014)
|
研究分担者 |
平石 貴樹 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (10133323)
高橋 和久 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (10108102)
阿部 公彦 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (30242077)
諏訪部 浩一 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (60376845)
侘美 真理 東京大学, 人文社会系研究科, 助教 (60596807)
|
キーワード | 文学 / 英米交流 / 出版 / 西洋史 / 比較文化 |
研究概要 |
プロジェクトの大きさに鑑み、初年度は、それぞれの専門領域に関係する資料収集を中心として作業を進めることとした。まず、研究代表者である大橋は、「英文学」を代表する劇作家ウィリアム・シェイクスピアの影響が、映画作品を含むアメリカ文学にどのような形で現れているかの調査に着手した。平石は、平成22年に上梓した『アメリカ文学史』を補完する作業を開始し、従来の伝統的なアメリカ文学史においては無視ないし軽視されてきた作家達に関する包括的なリサーチをおこなった。高橋は、近年に出版されたイギリス小説と批評を総括的に概観することによって、今日において、英文学という「制度」がどのようなものとして認識され、実践されているかの見取り図を提示した。阿部は、19世紀から20世紀にかけての英米の作品におけるトランスアトランティックな影響関係を調査しつつ、ナサニエル・ホーソーンの代表作の語りを分析することで、アメリカ文学に典型的なジャンルとしての「ロマンス」作品の成り立ちについて考察した。諏訪部は、ダシール・ハメットの作品を中心として考察することにより、大戦間に典型的な「アメリカ文学」的ジャンルとして生まれたハードボイルド小説が、イギリスで隆盛していた探偵小説との差異化をはかることによって1つの「ジャンル」として成立するようになったことを論証した。侘美は19世紀の中葉における英米で大いに人気があった「幽霊小説」に関する包括的な研究を続け、特にこのジャンルにおける英米の文学的・文化的相互関係について研究を進め、平成24年3月にイギリスにおける現地調査をおこなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロジェクトの初年度である本年は、それぞれの専門領域に関係した資料収集を集中的におこなうこととし、日本国内においてアクセス可能な資料を収集したことはもとより、平成24年3月にはイギリスにおける現地調査もおこなった。これらの作業を通して、今後の資料収集の範囲と方向性が定まることとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度に続いて、資料収集を継続的におこなうこととするが、その資料の整理分析に本格的に着手する。そうするにあたっては、意見交換を繰り返しおこない、個々の研究者の専門的知識を有効に活用する。単に個別の作家作品の研究に終始するのではなく、「アメリカ文学」ないし(アメリカ文学を含む)「英文学」といった、「領域」の問い直しを目指す。
|