研究課題/領域番号 |
23320061
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大橋 洋一 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (20126014)
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研究分担者 |
高橋 和久 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (10108102)
平石 貴樹 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (10133323)
阿部 公彦 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (30242077)
諏訪部 浩一 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (60376845)
侘美 真理 東京大学, 人文社会系研究科, 助教 (60596807)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2016-03-31
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キーワード | 文学 / 英米交流 / 出版 / 西洋史 / 比較文化 |
研究概要 |
研究代表者である大橋は、シェイクスピアがアメリカ文化に与えている影響に関してリサーチを継続しつつ(本年度はリサーチの範囲をラテンアメリカにも広げた)、アメリカ映画におけるシェイクスピアの扱いに関し、クィア理論を援用しつつ具体的な分析をおこなった。平石は、エドガー・アラン・ポーをはじめとして、従来の伝統的なアメリカ文学史においては軽視されがちであった作家達に関する考察を深め、19世紀半ばにおける「アメリカ文学」の成立と、その受容の問題について考えた。高橋は、トマス・ハーディなどのイギリス作家に注目し、「学ぶ/教える」対象としての英文学、すなわち「制度」としての「英文学」に関する考察に取り組んだ。阿部は、19世紀の後半から20世紀の前半にかけての英米作家の作品に広く見られるトランスアトランティックな影響関係を視野に入れつつ、ウォルト・ホイットマン、ルイス・キャロル、D・H・ロレンス、ウォレス・スティーヴンズなどの重要作家の文体を分析した。諏訪部は、1920年代のアメリカにおける大衆小説の隆盛に関する関心を持続させつつ、ウィリアム・フォークナーを中心に、大戦間のアメリカにおける「偉大な小説」概念の流通を検証し、そこに同時代のイギリス文学に対する意識があったことを考察した。侘美は、平成24年3月に英国でおこなった現地調査の際に収集した、19世紀中庸に英米で流行していた「幽霊小説」に関する資料、特にローダ・ブロートンなどの人気小説に関する資料を、平成25年1月に再度調査し分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、前年度に開始された資料収集を対象を絞りつつ継続したことに加え、「アメリカ文学」(とそれを含む形での)「英文学」という概念について、意見交換をしつつ、それぞれの分担者が考察をおこなった。とりわけ19世紀の半ばと20世紀の大戦間という、アメリカ文学において最も重要な2つの時期に関する理解を深めたことは、伝統的な「アメリカ文学」概念に対する再検証につながるものであり、今後の研究の基盤となる成果であったと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、資料調査を継続しておこなう。各国に点在する有用・貴重資料等の所在、閲覧、購入については、個々の研究者が現地調査あるいは資料収集を進める。そうした調査結果の整理並びに分析を進めていきながら、共同討議を重ね、共通データ化を目指していく。これまで同様、データ構築の統合性を高めるために、それぞれの専門知識を応用した個々の分担研究も進めていく予定である。
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