研究課題/領域番号 |
23320061
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大橋 洋一 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (20126014)
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研究分担者 |
高橋 和久 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (10108102)
平石 貴樹 東京大学, 人文社会系研究科, 名誉教授 (10133323)
阿部 公彦 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (30242077)
諏訪部 浩一 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (60376845)
侘美 真理 東京藝術大学, 音楽学部, 准教授 (60596807)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 文学 / 英米交流 / 出版 / 西洋史 / 比較文化 |
研究実績の概要 |
研究代表者である大橋は、シェイクスピアがアメリカ文学・文化に与えている深い影響に関する調査を継続しておこないつつ、劇作家ハロルド・ピンターの戯曲を、彼が「アメリカ」的な全体主義に対して一貫して批判的な立場をとり続けたことをふまえて考察した。平石は、最も「アメリカ」的な作家としてのウィリアム・フォークナーの文学を総括しつつ、「アメリカ的な自我」とは何かという問題に関する議論を深めた。高橋は、19世紀から20世紀にかけてのイギリス文学史を、「アメリカ」を意識しながら検証していった。阿部は、英米の作家の思考をトランスアトランティックな文脈を意識しながら論じる著書をまとめつつ、世界史的文脈における「英文学」の位置づけについて考察した。諏訪部は、ノワール小説というジャンルの「アメリカ性」を論じる著書をまとめつつ、20世紀初頭のアメリカにおける文化的表象・文学的潮流について、それらがイギリス文学から少し遅れて発生したことを意識しながら論じた。侘美は、「幽霊小説」に関するフォークロアーの扱いについて、ブロンテやギャスケルの作品を取り上げながら論じた。また、海外(英国)で幽霊文学とフォークロアーに関する資料を集め、イギリスのみならずアメリカやアイルランドにおけるそれらの資料も収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度も、平成23年度~平成25年度にかけて実施した資料調査の整理・分析を継続しておこないながら、「アメリカ文学」(とそれを含む形での)「英文学」という概念について、意見交換をしつつ、それぞれの分担者が考察をおこなった。阿部・諏訪部の著書や高橋の編著に見られるように、そうした資料調査の整理・分析はすでにまとまった成果という形であらわれているが、それぞれの分担者は19世紀の半ばと20世紀の大戦間というアメリカ文学における2つの重要な時期に関する理解を、大きな文脈に開きながら深めるという作業に着手しており、伝統的な「アメリカ文学」概念の再検証が前年度以上に推進されることになった。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者および研究分担者は資料調査の整理・分析を継続し、また欧米での現地資料調査も必要に応じて継続する。同時に最終年度として、各資料調査および研究成果を総括し、成果発表に向けての準備を進める。研究協力者同士のディスカッションを定期的におこない、最終的なデータベース構築の具現化と公開のためのプロセスを明示していくものとし、技術的な問題についても引き続き検討していく。一方、それらの資料とデータベースに基づいた各研究協力者の研究成果について、個別の学会発表や研究論文をすべて整理した上で、プロジェクト全体としての適切な公開の方法を議論し、その公開準備を進める。
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