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2013 年度 実績報告書

芸術表象における変容とオリジナリティ:創作のストラテジーとしての翻案研究

研究課題

研究課題/領域番号 23320068
研究機関神戸大学

研究代表者

楯岡 求美  神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (60324894)

研究分担者 増本 浩子  神戸大学, その他の研究科, 教授 (10199713)
北村 結花  神戸大学, その他の研究科, 准教授 (10204918)
GRECKO Valerij  神戸大学, 国際文化学部, 講師 (50437456)
ERMAKOVA L  神戸市外国語大学, 付置研究所, 名誉教授 (70316032)
木村 崇  京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 名誉教授 (80065234)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2015-03-31
キーワード翻案 / 翻訳 / グルジア / 異文化受容 / 映画
研究概要

本年度は国際研究交流を中心とする活動を行った。11月のスロヴェニア(A・シュテゲル他、菅啓次郎明治大学教授他)およびセルヴィア(V・カラノヴィッチ、D・ノヴァコヴィチ、山崎佳代子ベオグラード大学教授)の詩人グループとの交流を行い、歴史や日常が詩的言語空間に移し替えられる際の文化的差異について翻訳および音声化の実践を通して考察を行った。、A・カルトージア教授(ドイツ・ヨーロッパ大学)がグルジアの異教時代、キリスト教受容後、ソ連初期の未来派の交流について講演を行い、異文化の様式的受容と変容を考える際に当該地域事態の歴史的アイデンティティの複合性への配慮(脱ステレオタイプ)の重要性が改めて指摘された。N・チャリソワ教授(ロシア国立人文大学)は中世ペルシャの詩人オマール・ハイヤームが19世紀にイギリス経由でロシアに受容されて以降、その解釈が受容側の文化・政治的変化によって変わっただけではなく、ハイヤームの“翻訳”と称した新作が創られた結果、、「お酒の4行短詩」という新たな文学空間が創出され、現在でも活発であるだけでなく、オリジナルとは関係ないバーチャルな“疑似ペルシャ文化”が作られていることが明らかになった。12月にはグリゴリー・オステルを迎え、彼の児童文学をロシアと日本の子供や若手アーティストがアニメ化したものを比較し、創作者間でオリジナル作品がインスピレーションを与えあい、異なる世界を創出させること、両者の飛躍に作品の強度があることが明らかにされた。3月のM・パヴロフロシア国立映画博物館副館長を迎えた知られざるロシア映画では、さらにサイレント映画期のモンタージュやヌーヴェル・ヴァーグなどの映画手法が20世紀を通してロシア・フランス・ソ連など地域を超えて影響・共有されたが、創作者の表現は踏襲するのではなく、類似性の中に大きな違いを含む共鳴のようなものであることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は震災の年に始まり、そのため国外との交流計画に遅れが出ていたが、本年度においてある程度翻案の多様性を明らかにし、効果的な創作手法としてとらえる考え方を国内外の研究者と一定程度共有できたと思う。

今後の研究の推進方策

最終年度に向けて、これまで研究に参加してくれた内外の研究者とともに研究成果をまとめることを予定している。文学、映画など各ジャンルにおける特質を論じるための国際研究集会を神戸、東京、グルジアで行い、最終的に報告書を刊行し、それをもとに、翻案の新たな可能性の展望についてさらに討論を深めたい。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Звук и значение в современной русской поэзии: сто лет после футуризма.2013

    • 著者名/発表者名
      Grecko, Valerij
    • 雑誌名

      Image, Dialog, Experiment; Felder der russischen Gegenwartsdichtung.

      巻: 1 ページ: 77-90

  • [雑誌論文] К лингвистико-психологической характеристике зауми Ильи Зданевича.2013

    • 著者名/発表者名
      Grecko, Valerij Eimermacher, Karl
    • 雑誌名

      Светлост са Истока

      巻: 1 ページ: 189-203

  • [雑誌論文] К проблеме рассказчика о «начале времен».2013

    • 著者名/発表者名
      Ermakova, Liudomila
    • 雑誌名

      Orientalia et Classica L. Труды Института восточных культур и античности.

      巻: 1 ページ: 105-116

  • [雑誌論文] Мифическое и лирическое: о превращениях одного образа2013

    • 著者名/発表者名
      Ermakova, Liudomila
    • 雑誌名

      Сетевой журнал по японским исследованиям

      巻: 1 ページ: WEB公開

  • [雑誌論文] Гумилев и Садаякко. Отражения и подражания.2013

    • 著者名/発表者名
      Ermakova, Liudomila
    • 雑誌名

      Japanese Studies for Slavic and East European Studies.

      巻: 34 ページ: WEB公開

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ボロジノという絆: トルストイ、レールモントフ、プチャーチンを結ぶもの2013

    • 著者名/発表者名
      木村崇
    • 雑誌名

      緑の杖

      巻: 10 ページ: 1-26

  • [雑誌論文] 言語への懐疑とコミュニケーション不全―ホフマンスタール、カフカ、デュレンマット2013

    • 著者名/発表者名
      増本浩子
    • 雑誌名

      DA

      巻: 8 ページ: 71-79

  • [雑誌論文] ВЗАИМНОЕ ВЛИЯНИЕ ТЕАТРАЛЬНЫХ ТРАДИЦИЙ2013

    • 著者名/発表者名
      Tateoka, Kumi
    • 雑誌名

      Светлост са Истока

      巻: 1 ページ: 187-193

  • [雑誌論文] О японских фильмах и спектаклях2013

    • 著者名/発表者名
      Tateoka, Kumi
    • 雑誌名

      Диалог армянской, русской и японской культур; Опыт сравнительного анализа

      巻: 1 ページ: 124-134

  • [学会発表] Gleichnis des Lebens: Geschichte der literarischen Stoffe als Autobiographie Dürrenmatts.2014

    • 著者名/発表者名
      Masumoto, Hiroko
    • 学会等名
      Humboldt-Kolleg Kyoto 2012
    • 発表場所
      コープ・イン京都
    • 年月日
      20140302-20140302
    • 招待講演
  • [学会発表] О японских фильмах и спектаклях2013

    • 著者名/発表者名
      Tateoka, Kumi
    • 学会等名
      Диалог армянской, русской и японской культур; Опыт сравнительного анализа
    • 発表場所
      Armiansko-Rossiiskii Universitet, Erevan(アルメニア)
    • 年月日
      20130928-20130928
  • [学会発表] Восприятие художественного текста с культурно чуждой структурой2013

    • 著者名/発表者名
      Kimura, Takashi
    • 学会等名
      東アジアICCEES
    • 発表場所
      大阪経済法科大学
    • 年月日
      20130809-20130809
  • [学会発表] Структурная общность экранизаций «Анны Карениной»2013

    • 著者名/発表者名
      Tateoka, Kumi
    • 学会等名
      東アジアICCEES
    • 発表場所
      大阪経済法科大学
    • 年月日
      20130809-20130809
  • [学会発表] Was man wirklich wollte“. Volker Braun vor und nach der Wende.2013

    • 著者名/発表者名
      Masumoto, Hiroko
    • 学会等名
      トリーア大学・モスクワ国立人文大学共催国際会議
    • 発表場所
      ロシア国立人文大学(ロシア)
    • 年月日
      20130528-20130528
    • 招待講演
  • [図書] Николай Невский. Жизнь и наследие.2013

    • 著者名/発表者名
      Ermakova, Liudomila
    • 総ページ数
      289
    • 出版者
      изд-во филол. ф-та СпбГУ

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公開日: 2015-05-28  

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