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2012 年度 実績報告書

『文選』の伝承から見た文学言語の型の形成と継承

研究課題

研究課題/領域番号 23320074
研究機関広島大学

研究代表者

富永 一登  広島大学, 文学研究科, 教授 (70132636)

研究分担者 和田 英信  お茶の水女子大学, その他部局等, 准教授 (20231037)
釜谷 武志  神戸大学, その他の研究科, 教授 (30152838)
緑川 英樹  京都大学, 文学研究科, 准教授 (30382245)
川合 康三  京都大学, 文学研究科, 教授 (40108965)
浅見 洋二  大阪大学, 文学研究科, 教授 (70184158)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワード中国文学 / 漢魏六朝文学 / 文選学 / 李善注 / 五臣注 / 中国:台湾 / 国際研究者交流
研究概要

本年度は『文選』詩編(12巻分)の訳注作業を行い、文学言語の型の形成と継承に関する研究を進めるために以下のことを実施した。
1.東京、京都、大阪、台湾大学などで計8回の研究会を開催し、6人で分担して作成した訳注(第一稿)の内容を検討し、随時修正稿を作成した。旧来の訳注の問題点を克服すべく、中国古典のデータベースを最大限活用し、より詳細な詩語の使用例をあげて詩の内容、各詩人の詩語の創作と継承の仕方を分析検討し、『文選』詩編(12巻分)すべての修正版第二稿を完成させた。検討会では、最新の『文選』や漢魏六朝文学に関する研究書も随時活用して、詩の読解や解説、注釈をより詳細なものにした。また、『文選』の全作品に通し番号をつけ、各作品の詩語との関連をスムーズに比較検討できるようにした。
2.訳注修正版第二稿の体裁は、詩題解説(作品構成の分析、作詩年代の推定、作詩状況の説明、後代の作品批評の紹介などを含む)、訓読、日本語訳、詩の内容の要約、詩語と詩句の意味の説明(典故や使用例を挙げて詩語の来歴も説明)、押韻字の指摘とした。
3.完成した修正版第二稿は、研究代表者の下に集めて、来年度の最終修正作業ができるように書式を整理した。これは本研究終了後に、出版物として公刊できるようにする準備と、来年度に予定している海外の研究者を招聘してのシンポジウムの資料として活用するためである。
4.適宜詩語を抽出して、文学言語の型の形成、継承、改変が詩語を通して一覧できる形式に整理するための作業に着手し、6人の意見をもとに書式を設定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたとおり、旧来の訳注の問題点を克服すべく、中国古典のデータベースを最大限活用し、より詳細な詩語の使用例をあげて詩の内容、各詩人の詩語の創作と継承の仕方を分析検討し、『文選』詩編(12巻分)すべての修正版第二稿を完成させることができた。最新の『文選』や漢魏六朝文学に関する研究書も随時活用して、詩の読解や解説、注釈を更に詳細なものにし、来年度の海外の研究者を招聘してのシンポジウムに提供する資料の素案がほぼできあがった。

今後の研究の推進方策

今後は、『文選』詩編12巻の最終稿作成のための検討を進め、今年度中には完成させる予定である。そして当初の研究目的のとおり、来春から、詩編の訳注を随時公刊することを計画している。また、海外の研究者を招聘して、シンポジウムを開催し、より訳注の精度を高めるとともに、中国の文学の型を世界の古典文学の型と比較検討したいと考えている。また、完成した訳注原稿のデータを、文学言語の型の継承と改変が詩語を通して一覧できる形式に整理し、より多くの研究者が利用できるようにすることを目指す。そのために、詩語の整理の仕方について引き続き分担者とともに検討する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] 梅堯臣・蘇舜欽研究論著目録2012

    • 著者名/発表者名
      緑川英樹
    • 雑誌名

      橄欖

      巻: 19号 ページ: 25-57

  • [雑誌論文] 莫砺鋒詩話―黄昏・月2012

    • 著者名/発表者名
      緑川英樹
    • 雑誌名

      飆風

      巻: 51 ページ: 35-64

  • [雑誌論文] 「自適」の生成―陶淵明・江淹・白居易2012

    • 著者名/発表者名
      川合康三
    • 雑誌名

      林田慎之助博士傘寿記念三国志論集(三国志学会編、汲古書院)

      巻: なし ページ: 237-256

  • [学会発表] 中国文学史的誕生

    • 著者名/発表者名
      川合康三
    • 学会等名
      国立台湾師範大学歴史系研究会
    • 発表場所
      国立台湾師範大学,台湾
    • 招待講演
  • [学会発表] 悲観与楽観―中日文学比較

    • 著者名/発表者名
      川合康三
    • 学会等名
      台湾逢甲大学文学院研究会
    • 発表場所
      台湾逢甲大学文学院,台湾
    • 招待講演
  • [学会発表] 日本唐代文学研究的回顧与展望

    • 著者名/発表者名
      川合康三
    • 学会等名
      中国唐代学会
    • 発表場所
      国立台湾師範大学,台湾
    • 招待講演
  • [学会発表] 貧士之諸面相

    • 著者名/発表者名
      川合康三
    • 学会等名
      台湾国立中央研究院研究会
    • 発表場所
      台湾国立中央研究院,台湾
    • 招待講演
  • [図書] 中国古小説の展開2013

    • 著者名/発表者名
      富永一登
    • 総ページ数
      536
    • 出版者
      研文出版
  • [図書] 蒼海に交わされる詩文2012

    • 著者名/発表者名
      浅見洋二
    • 総ページ数
      370
    • 出版者
      汲古書院
  • [図書] 中国古典文学の思考様式2012

    • 著者名/発表者名
      和田英信
    • 総ページ数
      335
    • 出版者
      研文出版
  • [図書] 杜甫2012

    • 著者名/発表者名
      川合康三
    • 総ページ数
      250
    • 出版者
      岩波書店
  • [図書] 陶淵明―「距離」の発見2012

    • 著者名/発表者名
      釜谷武志
    • 総ページ数
      211
    • 出版者
      岩波書店

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公開日: 2014-07-24  

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