研究課題/領域番号 |
23320075
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
高西 成介 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (50316147)
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研究分担者 |
勝山 稔 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (80302199)
川島 優子 広島大学, 文学研究科, 准教授 (30440879)
林 雅清 京都文教短期大学, ライフデザイン学科, 講師 (70551985)
塩 卓悟 佛教大学, 通信教育部, 研究員 (80449826)
井上 浩一 東北大学, 高等教育開発推進センター, 非常勤講師 (40587169)
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キーワード | 中国文学 / 海域交流 / 中国通俗文芸 |
研究概要 |
平成23年度は、「通俗文芸の日本における受容」に関して、研究メンバーそれぞれが担当分野の資料収集と分析を行った。また、研究会を実施し、研究協力者から情報の提供を受けるとともに、メンバーの研究発表と活発な議論を通じて、研究成果の共有をおこなった。メンバーの個別研究における成果は、次のようになっている。 (高西)『妖怪府』(明治18年)が、林羅山『怪談全書』を利用したものであることを明らかにし、12月の研究会で発表した。また、致富諦の事例研究の基礎作業として、『太平広記』金部の訳注を行い一部を公刊した。 (勝山)近代日本における中国小説の受容の上で重要な位置を占める井上紅梅について、従来の評価を批判的に再検討を試み、その成果を発表した。また同じく昭和初期(戦前)の受容事例として、新たに増田渉の翻訳事例を発見し、その成果を公刊した。 (川島)平成23年度は、江戸時代における『金瓶梅』の受容のまとめ(立命館大学土曜講座にて発表)、および明治時代の『金瓶梅』に関する資料の収集、整理を行った。当初予定していた明治時代の受容に関する分析、考察までは及ぼなかった。 (林)11月に台北の国立故宮博物院での講演会や崔劇上演会に参加、中国伝統演劇の一つである毘劇の舞台空間に関する調査を行い、3月には上海及び寧波で現地図書館が所蔵する古典戯曲関連文献調査や、仏教寺院と演劇・芸能との関係を調査した。 (塩)国立公文書館所蔵『太平広記』の所蔵系統に関する論考を発表する一方で、蓬左文庫蔵『太平広記』版本の調査から、尾張徳川家における同本受容の様相を明らかにした。また、両館における他の書物の版本調査を実施した。 (井上)子ども向けに出版された『西遊記』を調査し、そこで用いられている話柄の傾向をまとめ、12月の研究会で発表した。また、調査によって得られた『西遊記』刊行情況の情報をウェブサイトで公開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、研究代表者、研究分担者とも資料の収集を精力的に行い、一部はその分析にまで入っている。また、12月に研究会を実施し、研究発表と討論、さらには、研究協力者による講演も行った。これらの活動により、それぞれの研究進捗状況と研究成果の共有をはかり、成果の有機的結合を目指した。これらを総合すると、おおむね順調に研究は進展しているといえよう。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も、昨年度と同様に各人が個別に研究をすすめる。その上で、それぞれの研究成果を、研究会を通じて互いにフィードバックし、さらなる研究の進展と研究成果の体系的有機的結合をはかる。 また今年度は、研究成果の一般への還元をはかるため、いくつかの講演・講座を企画している。
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