研究課題/領域番号 |
23320075
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
高西 成介 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (50316147)
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研究分担者 |
勝山 稔 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (80302199)
川島 優子 広島大学, 文学研究科, 准教授 (30440879)
林 雅清 京都文教短期大学, その他部局等, 講師 (70551985)
塩 卓悟 大阪市立大学, 文学研究科, 研究員 (80449826)
井上 浩一 東北大学, 学内共同利用施設等, その他 (40587169)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 中国文学 / 海域交流 / 中国通俗文芸 |
研究概要 |
平成24年度は、前年に引き続き研究メンバーそれぞれが担当分野の資料収集と分析を行った。また、12月には研究会を、2月には「『海域交流與日中文学』国際学術検討会」を開催し、研究成果の共有とさらなる深化を目指した。メンバー個別研究における成果は以下に記す通りである。 高西は、中国説話に見える「巨人」に着目し、ホメロス『オデュッセイア』『千夜一夜物語』『インドの不思議』『青邱野談』『今昔物語集』等と比較することにより、海域交流による説話伝播の一端を明らかにした。また『夷堅志』の訳注を継続した。勝山は、中国白話小説の受容に貢献した支那愛好者の文化受容の研究の一環として、桃義会・混沌庵・井上紅梅に関する著述の収集を行い、『醒世恒言』巻23「金海陵縦欲亡身」の日本最初の翻訳者が井上紅梅であることを明らかにした。 川島は、昨年度は江戸時代に続き、明治・大正期の『金瓶梅』関連資料を収集、整理した。日本の『金瓶梅』観の変化が当時の小説観の変化を如実に表すものであること、またその小説観が中国にも大きな影響を与えた可能性があることを指摘した。塩は、中央研究院における『太平広記』諸版本の所蔵傾向や版本系統を明らかにするとともに、江戸時代の尾張藩における『太平広記』受容の様相を考察した。その一方で、日本・台湾の諸機関所蔵の『太平広記』版本の調査や『夷堅志』の訳注などを行った。 林は、西安・洛陽の寺院や博物館等で中国古典演劇に関する調査を行ったほか、日本の古典演劇の調査も実演形態と文献の両面から行い、特に元雑劇と人形浄瑠璃の比較から両者の特徴を明らかにし、研究会等で複数回報告した。井上は、子ども向けに出版された『西遊記』の調査及びウェブサイトでの情報公開を継続・更新し、その中で明らかになった児童書『西遊記』の時代による内容の変遷をまとめ、発表した。また、台湾における調査にも着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は昨年度に引き続き、研究代表者、研究分担者とも資料の収集を精力的に行い、順調に研究をすすめている。また、それぞれの研究資料に基づいた分析も本格化している。12月には広島に於いて研究会を実施し、研究発表と討論を行った。さらに、本来の研究計画にはなかったが、2月に台湾に於いて学術研討会を開催した。この研討会には、メンバーの全員と、中国・台湾の研究者が参加(一部紙上参加)し、活発な討論を通して本研究のさらなる進展を目指すとともに、各研究者間の研究成果の有機的結合をはかった。 一方、名古屋において、科研メンバーによる連続講演会を実施するなど、研究成果の社会還元の面においても、一定の成果をあげることができた。 以上の点を勘案すると、本研究はおおむね順調に進展しているといえよう。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる本年度は、各人が個別に研究をすすめると同時に、それぞれの研究成果を様々な場において発表、公刊する段階に入る。また、全員が参加する研究会も1~2回予定しており、それぞれの研究成果をフィードバックし、体系的有機的結合をはかる。 また、昨年度に引き続き今年度も、研究成果の一般への還元をはかるため、講演・講座の実施をを企画している。
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