研究課題/領域番号 |
23320078
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
内山 精也 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20275019)
|
研究分担者 |
浅見 洋二 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70184158)
池澤 一郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70257228)
高橋 幸吉 慶應義塾大学, 商学部, 准教授 (80508656)
種村 和史 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (90265926)
東 英寿 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (90218686)
保苅 佳昭 日本大学, 商学部, 教授 (40229159)
堀川 貴司 慶應義塾大学, 付置研究所, 教授 (20229230)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 国際研究者交流(中国、台湾、香港等) / 南宋江湖詩派研究国際シンポジウム / 江湖派研究 / 南宋文学 / 宋末元初 / 文言詩の通俗化 |
研究概要 |
本年度は計3ヶ年の研究期間のうち二年目に当たる。8名の共同研究者がそれぞれの個別テーマに即して研究を一層深化させた一年といってよい。全体的な成果としては、10月20日に同志社大学を会場に開催した「第二回南宋江湖詩派研究国際シンポジウム」が挙げられる。「深化と展開」をテーマに掲げ、海外から4名の学者を招聘したほか、本研究チームの3名が研究発表を行った。氏名と発表題目は以下の通りである(*は共同研究者)。 王水照(復旦大学):『銭鍾書手稿集・中文筆記』与江湖体研究/*保苅佳昭:江湖派詩人の交流における詞の意味─特に姜夔の詞から─/銭志熙(北京大学):論『千家詩選』与劉克荘及江湖詩派的関係/羅鷺(四川大学):書棚本唐宋小集発微/卞東波(南京大学):域外漢籍所見南宋江湖詩人新資料及其価値/*高橋幸吉:金末元初における非士大夫詩人層の詩作─河汾諸老とその周辺─/*池澤一郎:日本近世の江湖詩社の盟主・市河寬齋について─『北里歌』を中心に― 当日は約40名の参加者が集い、活発かつ有意義な意見交換がなされた。これらの成果の一部は、江湖派研究会編『江湖派研究』(不定期刊)や関連の学術誌に順次掲載されていくことになるであろう。 それぞれの個別研究がようやく具体的な成果として現れ始めている。いまだなお一本一本の線であるが、これらを相互に結びつけて、より太い複合的な問題の幹を浮き上がらせるべく、次年度はより自覚的に全体的知識の蓄積と融合とを図っていきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
南宋江湖詩派の研究は、我が国ではこれまでまったく着手されてこなかった新領域である。したがって、本研究発足時のミニマムの目標は、まず対象を精確に把握した上で、具体的な問題点をより多く発掘し、周辺領域との接合点をより多く見出すことにあった。その限りにおいて、本共同研究はきわめて順調に進捗している。ただし、現段階では、個々の問題点がなおも孤立し、面的な連携が顕現していない憾みが遺る。この問題の解決には、共同研究者がなお一層対象への理解を深化させ、複合的な問題意識を共有することが前提となる。それを可能にするものは、一に時間、二に意見交換の機会である。来年度で本研究は一区切りを迎えるが、限られた条件の中で、次へのステップに繋がるより具体的で多様な研究成果を生み出せるよう、最大限の努力をしていきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度も各共同研究者がそれぞれの個別テーマを深化させる一年となるが、秋に第三回の南宋江湖詩派国際シンポジウムを開催し、海外の研究者を招聘して、我々研究チームに不足しがちな視点や知識を提供してもらう。と同時に、共同研究者相互の意見交換の場と位置づける。3ヶ年という時間は、未知なる研究テーマを8名が行う共同研究としてはたいへん短いが、8名それぞれが当該領域に関して短期集中して関心のアンテナを向けたことにより、知識基盤が急速に整備され、問題意識が共有されつつあることもまた事実である。今回の共同研究を第一次として、数年後に第二次の共同研究をもう一度開始できればと考えている。その際には、我々の知的基盤は一層厚く確かなものになっているであろう。しかし、その前に、3ヶ年の研究活動を日中学術交流の成果として世に問い、この研究テーマの重要性を広く関係者にも知ってもらうとともに、次なる共同研究への参画を呼びかけたい。
|