研究課題/領域番号 |
23320081
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
傳 康晴 千葉大学, 文学部, 教授 (70291458)
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研究分担者 |
小磯 花絵 国立国語研究所, 理論・構造研究系, 准教授 (30312200)
榎本 美香 東京工科大学, メディア学部, 助教 (10454141)
増田 将伸 甲子園大学, 総合教育研究機構, 講師 (90460998)
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キーワード | 融合モデル / 認知過程 / 伝達課程 / 発話単位 / アノテーション |
研究概要 |
本研究の目的は、2人以上の話者による対話において、(1)「発話」が下位要素からどのように構成され、(2)個々の行為が単一もしくは複数の話者による「発話」からどのように構成されるのかを実対話データの分析に基づいて明らかにし、会話インタラクションにおける文法や言語使用に関する認知・伝達融合モデルを構築することである。 本年度は研究課題(1)に関して以下の成果を得た。 (1)発話冒頭部に対比構造を組み込むことで、その発話がどのような応答を要求するものなのかを予測可能にしていることを示した。 (2)発話の進行に伴い、聞き手が発話順番を取るか否かに応じて、話し手が発話の完了点を精密に調整していることを示した。 (3)発話の完了点が、アクセント句数個分先立つ位置に置かれる特殊な上昇下降イントネーションによって早期に標示されている可能性を示した。 (4)発話の完了点を統語・韻律情報に基づき漸進的に予測するモデルを構築し、円滑な話者交替と重複発話を統一的に扱えるモデルを提案した。 (5)発話の完了点の予測に統語・韻律情報が与える影響を聴取実験により検討し、統語情報の有意性を確認した。 これらの成果の基盤となるアノテーションデータに関して以下の拡充を行なった。 (1)千葉大3人会話データに、あいづちターゲット・照応関係・「発話」構成など、新たな付加情報を付与し、分析に利用した。 (2)千葉大3人会話データに加え、『日本語話し言葉コーパス』対話データを関係データベース化し、分析に利用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度設定した研究課題の多くについて、査読付き論文12本を含む雑誌論文(論文集含む)39本もの成果が得られた。また、基盤となるアノテーションデータについても、新たな付加情報やコーパスが追加され、研究基盤がほぼ固まった。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題(1)「下位要素からの発話の構成」についての検討を継続し、精緻なモデル化につなげるとともに、平成24年度から研究課題(2)「発話による行為の構成」についての検討を開始し、最終年度で両者を統合する。研究基盤となるアノテーションデータについては、現状の付加情報の誤りを発見・修正し、より精度を高めるとともに、研究課題(2)に関わる付加情報を必要に応じて追加する。
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