研究課題/領域番号 |
23320082
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大西 克也 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (10272452)
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研究分担者 |
木村 英樹 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (20153207)
木津 祐子 京都大学, 文学研究科, 教授 (90242990)
松江 崇 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (90344530)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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キーワード | 言語学 / 中国語 / 歴史言語学 / 文法範疇 / レファランス / 有標・無標 / 数量詞 / 概念と実体 |
研究概要 |
平成25年度は、指称範疇の歴史的展開を共通テーマとして研究を推進し、日本中国語学会第63回全国大会ワークショップ「指称の範疇化と『存在』の問題をめぐる考察」に結実したことが特筆される。 大西は、上古中国語においては文法範疇としての指称は未形成であり、上古後期から中古にかけて不定行為者が動詞「有」によってマーキングされる傾向が生じたことが、中国語における指称範疇形成の胎動と位置づけられること、それは実空間を描写対象とする空間存在文の形成など、空間認識の変化と期を一にすることを明らかにした。 松江は、『遊仙窟』や敦煌変文等、唐五代時期の資料を調査し、①目的語不定名詞句が原則として何らかの手段で有標化されていること、②しかし有標形式の内実は多様であり、且つ有標化される条件に多くの制限があること、③有標形式のうち、量詞を用いたものと然らざるものとの間には談話機能の面で相違があること等を明らかにした上で、唐五代には不定に関わる文法範疇の形成が窺われるものの、いまだ未成熟の段階にあったと推定した。 木津は、宋代の言語資料『朱子語類』の指称形式について総合的調査を行い、後代においては代表的量詞として頻用される「箇」が、『朱子語類』では基本的に「一」以外の数詞とは結合せず、後続する名詞に輪郭を与え個別化する為に用いられ、量詞としては未だ十分な機能を有していなかったことを明らかにした。 木村は指称範疇の拡張というテーマに取り組み、現代中国語の指称(reference)の問題を取りあげ、指称という文法現象を(従来の名詞表現の枠を超えて)広く「現実世界の存在へのreferring」という観点から捉え直し、無標と有標という形式上の対立を手掛かりに、名詞・形容詞・動詞の間に共通の意味的要因に動機づけられた範疇横断的な指称的現象が存在するという事実を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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