研究実績の概要 |
図表現の意味分析のための理論的な枠組みの構築に取り組み、Barwise & Seligman (1997) のチャンネル理論に基づく「表現系」のモデルを概念的に明瞭化し、具体的な図表現系に適用する方法を示した論文を発表した(下嶋)。英語の場所の前置詞を中心に、言語と位相の関係を分析し、on, in, at, from/toは、それぞれ、位相における「境界」「空間」「離散」「区間」がその意味内容に関連していることを論証した後、各前置詞がどのような言語的制約を持つのかを明らかにした(今仁)。フランス語と日本語の時制・アスペクトを対照言語学的に研究し,空間移動が時間領域にマッピングされるメタファの基底にある認知プロセスの個別言語特異性を越えた言語普遍性を研究した(坂原)。 2015年9月17-19日開催45th Poznan Linguistic meeting, Adam Mickiewicz University, Poznanにおいて「空間・時間・論理領域の写像関係」に関する発表を行った(田窪)。繰り越し期間中実行予定の空間オリエンテーション実験に関しては、招へい予定のRafael Nunez教授の来日が本人の都合によりかなわず期間中に実行できなかった。代替措置として米国からC.Kennedy氏、H.Hoji氏を招き、京都大学文学研究科に一時在籍中のKaufmann夫妻と2015年10月31日-11月1日にわたり、Kyoto Workshop on linguistics and philosophy: Evidence and inference: the foundation of linguistics and philosophyと題した公開ワークショップを主催し、「空間。時間・論理領域の写像関係」が論理意味論に対してどのような寄与を行えるかに関する成果発表を行った(田窪、今仁、Kaufmann夫妻がメンバー)。
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