研究課題/領域番号 |
23320086
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹村 景子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (20252736)
|
研究分担者 |
小森 淳子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (10376824)
米田 信子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (90352955)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | スワヒリ語諸変種 / 基礎語彙600語 / 口承文学 / 文法記述 / バントゥ諸語 |
研究概要 |
本研究の目的は、スワヒリ語に関する従来の研究対象が専ら「標準スワヒリ語」であり、東アフリカ一帯で用いられている様々な変種にまで目が向けられてこなかったことに鑑み、いくつかの先行研究において約20~24ほどあるとされるスワヒリ語諸変種の文法記述研究とそのための一次資料収集を行なって、これまでに闡明されていない「スワヒリ語」の重層性と複合性を明らかにすると同時に、果たして旧来の変種分類が正しいかどうかを検証することである。 平成24年度については、研究代表者以下、調査参加者全員が各対象地域において前年度と同様にスワヒリ語変種の文法記述にとって適当な調査地点を広く踏査し、その地域の変種の文法および基礎語彙を記述するためにふさわしいコンサルタントを獲得し、調査を展開した。具体的には、研究代表者の竹村はザンジバル島北部県においてチャアニ変種の文法記述、キベニ変種およびキドティ変種の基礎語彙600語の収集、研究協力者の宮﨑はザンジバル島東部においてジャンビアーニ変種およびパジェ変種の文法記述と基礎語彙600語の収集、井戸根はペンバ島北部において基礎語彙600語の収集およびオーラルヒストリーの聞き書き、品川と八尾はキリマンジャロ州においてチャガ人の話すスワヒリ語変種の基礎語彙600語の収集および文法記述、藤井はザンジバル島において口承文学収集、古本はザンジバルタウンにおいて基礎語彙600語の収集および文法記述を行なった。これら収集したデータの多くは研究成果としてまとめられ、論文や口頭発表の形で公開されている。 また、研究代表者、研究分担者(小森淳子、米田信子)、研究協力者は11月に開催された「国際バントゥワークショップ」に発表者またはコメンテーターとして参加し、これまでの研究成果について活発な議論および意見交換を行なった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各調査者は、前年度から引き続き調査を展開している地域において、それぞれの変種の文法記述に必要なデータの蓄積を順調に行なっている。また、国際バントゥワークショップでの議論において、いくつかの地域のデータを比較検討することにより、スワヒリ語諸変種を通時的且つ共時的に研究し直す必要性が明らかになった。これらのことから、今後も同様の調査を続けていけばさらにスワヒリ語諸変種の実態解明に繋がると判断できるため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き各調査地での文法記述、基礎語彙収集、民俗語彙収集、オーラルヒストリー収集、口承文学収集に努め、できるだけ多くのスワヒリ語変種の文法概要および社会言語学的状況を明らかにする。また、日本アフリカ学会等の学術大会における口頭発表や論集等での論文・資料・研究ノートの発表により、広く成果を公表することを目指す。
|