研究課題/領域番号 |
23320087
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金水 敏 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70153260)
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研究分担者 |
岡崎 友子 就実大学, 人文科学部, 准教授 (10379216)
本浜 秀彦 沖縄キリスト教学院大学, 人文学部, 准教授 (60441961)
菅 さやか 東洋大学, 社会学部, 助教 (30584403)
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キーワード | 言語学 / 実験心理学 / 役割語 / 琉球 / 社会系心理学 / ステレオタイプ / キャラクタ / 対照言語学 |
研究概要 |
1.特任研究員による日本語の役割語に関わる語彙リストの記述は全体の3割程度が完成した。 2.菅さやかは、東京都内の幼稚園にて、前期と後期にそれぞれ実験を実施した。前期に行った実験では、言語理解とステレオタイプ知識獲得の関係に、発達的変化が見られるかを検証した。3歳児と5歳児を対象に調査を行った結果、3歳児では両者の間に相関が見られないのに対し、5歳児では正の相関が見られた。後期には、5歳児を対象に実験を行い、役割語の理解には、音声の抑揚が重要な役割を果たすことを明らかにした。 3.本浜秀彦は、沖縄方言(もしくは「沖縄語(ウチナーグチ)」)に関する膨大な先行研究の確認を、特に八重山方言を意識しつつ、また石垣市立図書館での文献調査・資料収集を含めて行う一方、映像、小説などにおける、沖縄語の使用例を確かめた。こうした作業を通して、学校教育において方言が、児童・生徒に好ましくない「不良ことば」として捉えられた点などに注目、規範から逸脱した「アウトサイダー」イメージと方言の使用の結びつきが、沖縄で顕著に見られたのではないかという仮説を立てるにいたった。 4.金水は英語における役割語について資料を収集し、それに基づいて講演会、高校に於ける出張授業等で発表を行った 5.勅使河原三保子と金水は共著の英語論文を完成させ、雑誌に投稿、採用された。現在、印刷中である。 6.金水の著書『ヴァーチャル日本語役割語の謎』(岩波書店、2003年)の韓国語訳プロジェクトが始まり、釜山大学研究グループと作業を進行中である。またその打ち合わせを兼ねて釜山大学を訪れ、併せて現地で講演も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
役割語辞書の編集、幼児を対象とした役割語的知識の獲得についての実験は予定通り実施できた。また英語論文の完成、英語と日本語の対象役割語研究等も進行しており、進捗状況は概ね順調であると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
役割語辞書は引き続き編集を進め、完成をめざす。 また2年目の年度は、中国人の役割語として認識されている<アルヨ言葉>の歴史的形成過程と、中国本土における日本人ステレオタイプの表現との関係について研究をまとめる予定である。 幼児を対象とした心理実験については研究をまとめて学会発表、論文化を進める。その過程で、追加実験が必要な場合はこれを行う。 『ヴァーチャル日本語役割語の謎』の韓国語訳プロジェクトを引き続き推進していく。
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