研究課題/領域番号 |
23320087
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金水 敏 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70153260)
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研究分担者 |
本浜 秀彦 文教大学, 国際学部, 教授 (60441961)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 言語学 / 心理学 / ステレオタイプ / ポピュラーカルチャー / 対照研究 |
研究概要 |
1. 「役割語」とは、特定の人物像と心理的に結びついた「話し方」のことである。の役割語として特徴的な語彙リスト123語に基づいて、役割語の観点から各項目の記述を完成させた。申請者(金水)および雇用を特任研究員がこの作業に当たった。本成果は平成26年度中に公刊される予定である。 2. 研究分担者の本浜秀彦氏は、不良ことばに現れる沖縄方言の機能について、資料収集に当たった。また、沖縄出身の作家大城立裕の業績について研究した。 3. 申請者(金水)を中心に、役割語研究会を計9回行った。9回のうち8回は公開とした。延べ約40名が参加した。研究会では、「役割語基礎論(1)」「役割語基礎論(2)ジェンダーと役割語」「大正・昭和初期における中国人の表象と役割語」「影の言葉・役割語と元型の関係を巡って」「日中戦争下の言語接触と役割語」「オキナワン・ナイト―沖縄ポピュラーカルチャーにおけるウチナー・ヤマトゥグチ・琉神マブヤー、ハルサー・エイカーを中心に―」「タイ語の役割語に関する予備的報告」「キャラクターと“同一性”」, “Role language and society - toward a critical discourse analysis framework for the study of Japanese role language” というテーマで話し合った。 4. 申請者(金水)を中心に、チェコ(オロモウツ)、中国(ハルビン)、ノルウェー(ベルゲン)、アメリカ(ハワイ)で研究者との情報交換を進めた。また国内では、日本大学、藤女子大学、関西大学、愛知学院大学、日本心理学会(札幌)で講演ならびに研究者との意見交換を行った。また、方言学者、演劇研究者、テレビドラマのプロデューサーらとともに、ドラマと方言との関係についてシンポジウムを開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
役割語語彙リストの分析(役割語小辞典)については完成1歩手前までこぎ着けることができた。 国際交流に関しては、チェコ、中国、ノルウェー、アメリカと多彩な地域を訪れ、現地の研究者と交流することができた。 心理的発達については、連携研究者の松井智子氏と日本心理学会でワークショップを勤めることができた。 対照研究については、英語、中国語、韓国語、スペイン語のほか、タイ語を加えることができた。また、ヴァーチャル方言と役割語との関連について 個別役割語の記述については、特に中国人を表すピジンの研究を進めることができた。これについては平成26年度中に成果を刊行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たり、これまでの成果を公刊していく予定である。具体的には、「役割語小辞典」「〈アルヨことば〉の歴史的研究」「ドラマと方言の新しい関係」等の内容となる。 役割語研究会を今年度も3回程度行う予定で、ここに役割語の獲得研究や対照研究も盛り込んでいく。また、国際的な規模のシンポジウムも行う予定である。
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