1.書誌情報の電子化:敦煌加点本を中心に書誌データベースの整備を行うとともに、大英図書館、フランス国立図書館が所蔵する敦煌加点本については、IDP 及び Gallica から画像の入手を行った。最終的に敦煌加点本データベースとして、大英図書館スタイン文献89件、フランス国立図書館ペリオ文献146件になった。また国内外に現存する朝鮮版漢文資料についても書誌情報500件の入力作業を行った。 2.加点内容の分析と各言語での比較検討:日本の訓点資料については調査済み資料を中心に解読結果の精査を行い、ベトナムの漢文資料については朱点・朱引の機能について検討を行った。また、日本の論語訓点資料を韓国で初めて紹介した『日本論語訓点本の解読と翻訳(上)』について学術的な支援を行った。 3.資料の再調査・補充調査:東洋文庫、宮内庁書陵部、国立公文書館、京都国立博物館、東京国立博物館等で漢籍訓点資料の調査を行なった。 4.東アジア漢文訓読史が視認・追試できる実証可能モデルの検討・作成:情報工学の専門家と検討を行ったが、原資料公開には所蔵権で大きな限界があり、東アジア漢文訓読史を鳥瞰できる図表の作成にとどまった。 5.研究情報の交流:6月に早稲田大学において開催された国際シンポジウム:Accessing the Cosmopolitan Code in the Sinographic Cosmopolis にベトナム研究者を招聘し近世ベトナム漢文文献についての情報交流を行った。また8月に京都国立博物館・東京国立博物館で行った国際共同調査に韓国研究者を招聘し、漢文訓読史についての情報交流を行った。
|