研究課題/領域番号 |
23320097
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
宇都宮 啓吾 大阪大谷大学, 文学部, 教授 (40257902)
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研究分担者 |
苫米地 誠一 大正大学, 仏教学部, 教授 (00340456)
赤尾 栄慶 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸課, 上席研究員 (20175764)
山本 秀人 高知大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (30200835)
羽田 聡 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸課, 研究員 (30342968)
山本 真吾 白百合女子大学, 文学部, 教授 (70210531)
村川 猛彦(田中猛彦) 和歌山大学, システム工学部, 講師 (90304154)
横田 隆志 大阪大谷大学, 文学部, 准教授 (90403211)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 根来寺聖教 / 智積院新文庫 / 訓点資料 / 真言宗系聖教 |
研究概要 |
24年度は智積院(智山書庫)において整理・所在確認と詳細な書誌データの収集を目的とした調書の作成、重点聖教の洗い出しを行なった。この調査は、智積院御当局との連携のもとに合同調査も行ない、調査に際しては、参加調査員12名と助手(アルバイト学生3名~5名程度)、年間合計12日(3日×4回)程度の大規模調査と6日(3日×2回)程度の小規模調査とを実施し、書誌的調査と内容に関する調査を実施した。この作業によって、目標とした46函~61函までの基本的な調書作成が完成した。これによって、次年度には、これらを含めた智積院聖教第1函~61函までの調書点検までもが可能となった。また、数字番号函とは別のいろは文字函の聖教についても、所在確認を目的とした棒目録の作成を完了し、その中の主要聖教の調査が可能な段階に至った。 この調査の進捗状況によって、本科研の当初予定を充分に果たせることが確認され、智積院新文庫における根来寺聖教や中世・新義真言宗聖教の概要を窺うことが可能となったことが成果と言える。 また、今年度の成果において特筆すべきことは、『岩波仏教語辞典』においても「幻の書」とまで称され、従来は大谷大学にのみ確認されていた『二障義』について、現存最古本で最善本と考えられる写本を智積院において発見した。この成果については、韓国口訣学会における招聘発表として公にし、高く評価された。 これらを踏まえても、智積院聖教の学術的価値の高さが窺える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の段階で、当初より目標とした46函~61函までの基本的な調書作成を完成した。これによって、次年度には、これらを含めた智積院聖教第1函~61函までの調書点検までもが可能となった。また、数字番号函とは別のいろは文字函の聖教についても、所在確認を目的とした棒目録の作成を完了し、その中の主要聖教の調査が可能な段階に至った。 また、申請時に新資料の発見についても予想をしていた通り、『二障義』等の写本を発見するに至っている。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定をそのまま遂行する。詳細は以下の通り。 25年度には智積院(智山書庫)において整理・所在確認と詳細な書誌データの収集を目的とした調書の作成、重点聖教の洗い出しを行なう。調査対象の聖教は、必要に応じてデジタルカメラでの撮影を行ない、データベース化を図る。また、重点聖教については、フィルムカメラによる書影収集も行なう。調査以外に進捗状況の確認や相互の意見交換を行ない、2回程度の研究打ち合わせ会を持つこととする。この作業によって、目標とした46函~61函までの全ての詳細目録の完成と調書全ての点検の完了を目指す。 その他、智積院における聖教調査に合わせて、関連する聖教群の調査も参考として行なう。また、その他にも関連聖教の調査や、智積院に存する他宗派の聖教の検証として天台系寺院や叡山文庫等における調査も行なう。調書作成、デジタル撮影、データ化については、デジタル機器による特殊撮影も加える。その方策については、文化財修復の関連業者との意見交換等も行なう。また、聖教調査に並行してデータ班による聖教のデジタルアーカイブ化、公開に向けた聖教データベースの構築・血脈データベース構築の為、分担者村川及び和歌山大学システム工学部大学院生を中心としたグループによって、データ入力やシステム開発を進めていく。 このグループによって構築されたデータベースやソフトウェアの有効性やユビキタス環境整備のツールとしての有効性の検証として、調査先や諸所における検索やデータ収集等を行なう。この検証結果を分担者が開発グループにフィードバックし、この開発や検証に関する打合会についても2回程度の打合会を行なう。また、本科研による新たに産学連携をも図っていく。 以上に基づき、本科研の総括、報告書の作成・刊行を行なう。
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