研究課題/領域番号 |
23320099
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大津 由紀雄 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 教授 (80100410)
|
研究分担者 |
磯部 美和 東京芸術大学, 言語・音声トレーニングセンター, 助教 (00449018)
池内 正幸 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (20105381)
杉崎 鉱司 三重大学, 人文学部, 教授 (60362331)
今西 典子 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (70111739)
小町 将之 静岡大学, 大学教育センター, 講師 (70467364)
稲田 俊明 長崎大学, 言語教育研究センター, 教授 (80108258)
タンクレディ・クリストファー 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 教授 (80251750)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 言語学 / 生成文法 / 言語機能 / 領域固有性 / 言語教育 |
研究概要 |
1 言語機能の特性を探るために、いわゆる「文法」における言語運用の要請について研究した。具体的には、文断片が統語・意味・談話のインターフェイスに関して、標準的アプローチでは大きな問題になることを明らかにした。 2 ゲルマン系諸言語について無形述部類照応をなすVP EllipsisとNull Complement Anaphoraについて共時的言語間変異の資料の調査を行った。英語ではいわゆる'supporting verb 'doの史的発達によりVP Ellipsisの残存要素が多様化し無形述部類照応形の可能性が拡充されているが、他のゲルマン系諸語においては'supporting verb 'が英語ほど史的発達を遂げておらず、 無形述部類照応形としてはModal Complement Anaphoraは可能であるがいわゆるVP Ellipsisの可能性についてはmicrovariationがみられることについて、言語獲得機構に基盤において史的統語形態変化をとらえ、無形述部類照応にみられる共時的言語間変異の説明を試みた。 3 propositional attitudesと否定極性表現についての意味論的検討を行った。 4 進化言語学研究の実践的方法論について考察・検討・確認を行った。また、言語早期発現説に関連して、考古学的証拠と遺伝学的証拠の間の(不)整合性の問題について考察・検討した。 5 近年の極小主義の枠組みにおいてその存在が疑問視されている「言語間変異を司る生得的制約」(「パラメータ」)の存在について、言語獲得からの検討を加えた。具体的には、日本語における「自由語順」と「項削除」の現象を取り上げ、幼児を対象とした発話分析および心理実験により、それらの性質が「パラメータ」から導かれている可能性が高いことを明らかにした。 6 研究成果を言語教育に利用する方法についての検討を継続した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由)個別の研究も、全体の統合も、ほぼ予定どおり進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は最終年度にあたるので、1 言語機能の性質(他の心的モジュールとの相互作用を含む)、2 言語獲得の仕組み、3 言語機能の起源と進化、4 研究成果の言語教育への貢献の4つの主要な個別課題に関する研究成果を可能な限り、心と脳についての統合された見通しのなかに位置づける。また、取りまとめた研究成果の公開方法についても検討する。
|