研究課題/領域番号 |
23320104
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
大島 弥生 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (90293092)
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研究分担者 |
佐藤 勢紀子 東北大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20205925)
佐々木 泰子 お茶の水女子大学, その他部局等, 教授 (20251689)
山路 奈保子 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40588703)
因 京子 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (60217239)
山本 富美子 武蔵野大学, その他部局等, 教授 (50283049)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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キーワード | アカデミック・ジャパニーズ / アカデミック・ライティング / 国際研究者交流 / 談話分析 / インタビュー調査 / 論文作成支援 / 中国 / ロシア |
研究概要 |
目的Iの論文・レポートの構造分析において,佐藤ら(2013)では,人文・社会・工学系論文270本の構造型を調べた結果,文学・社会学・政治/経済/経営学の論文には資料の引用・解釈によって論述を展開する「資料分析型」論文が,それぞれ90.0%,53.3%,66.7%と多かったことを報告している。このことから,人文社会科学系論文指導には,その引用・解釈構造を究明することが喫緊の課題であるとし,この結果から,資料分析型論文における引用から解釈に至る引用文・解釈文の多様性について,実際の論文のコーパスデータにもとづく研究を進め,学会口頭発表(山本ら,2014.3)として報告を行い,分析の詳細化を進めている。 目的IIのニーズ調査については,現地日本語教育関係者に対するインタビュー調査を行った。具体的には,中国国内やロシア国内の大学の日本語教育専攻で教える複数のノンネイティブ日本語教師に対して,卒論や卒業研究発表の指導に関する半構造化インタビューを行い,その結果の一部を研究会ポスター発表(大島,2014.2)として報告した。また,母語話者大学院生の作文自己訂正についての報告(山路ら2014.2)や,書き言葉習得の経年変化についての報告等を発表し(山路ら,2013),教授・支援のニーズを検討した。 目的IIIのネットワーク構築に関しては,中国上海での「2013年度日本語教育と日本学研究国際シンポジウム」に参加してワークショップを開催したほか,ノボシビルスク国立教育大学において「日本語による学術的文章作成及び指導法」と題して現地のロシア人大学教員及び日本人日本語教師,ロシア人大学生・大学院生に向けて情報発信し,現地参加者との意見交換と教育手法の共有を行った。これらの情報共有の成果は,海外協力者との共著で「アカデミック・ジャパニーズ教育の中核的意義」として論考をまとめた(因ほか,2013)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文構造分析や論文スキーマ等についての学生の認識に関する研究成果等の学会誌発表,インタビュー調査の実施と分析など,実質的な研究成果が平成25年度内に得られている。これに加え,特に海外在住研究協力者の尽力により,海外(中国・ロシア)でのワークショップ開催の機会を得たほか,具体的・詳細な情報共有を通じて「アカデミック・ジャパニーズの中核的意義」としての論考がまとめられた。これらの成果は,今後の情報発信や調査の拡大,論文構造分析の発展にもつながることから,②と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
目的Iについては,おもに人文・社会科学系資料分析型論文における引用から解釈に至る引用文・解釈文の多様性について,実際の論文のコーパスデータにもとづく研究が進行中であり,すでに平成26年度における学会発表も内定している。また,論文作成支援の手法の深化につながる用例の抽出等の作業も進行中である。目的IIについてはインタビュー調査の続行と分析が進行中であり,成果発表を予定している。目的IIIについては,科研共同研究最終年度のとりまとめとしての,これまでのネットワーク構築の成果を包括するパネル等形式での報告会を企画中であり,公開を予定している。なお,目的IIのニーズ調査における特に理系分野の分析を強化するために,研究協力者としてアプドゥハン恭子氏(九州工業大学)を加える予定である。
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