研究概要 |
2012年度は大幅に研究が進んだ年であった。2011年度にすでに司法コーパスの構築をほぼ終えており、それを基に、主として一般英語の語彙が司法の専門的な意味で司法英語で使用されている事例について集中的に調査研究を行った。具体的には、一般英語であって司法英語の専門的な意味で使用される典型的な名詞を43語(例:act, battery, decision, order, sentenceなど)、司法英語独特の意味用法で使用される極めて一般的な動詞を37語(例:call, enter, file, pass, satisfyなど)を選出し、それらについて構築した司法コーパスの中でどのように使用されれているのかを、コーパスソフトのスケッチエンジン、アントコンクなどを使って分析をした。また、極めて使用頻度が高い基本的な司法英語を94語(例:appealant, plaintiff, charge, debt, property, trialなど)を選出し、これらがどのようなディスコースのどのような文構造の中で使用されているのかを調べ上げていった。 これらの研究成果は、第51回大学英語教育学会国際大会(於:愛知県立大学)で研究発表として公表している。また、『アメリカ法』(2012-1)においては、連邦最高裁判例における辞書の使用ことの是非について紹介している。立教大学異文化コミュニケーション学部紀要においても、司法英語における"-edly"形副詞の使用形態をコーパス言語学の視点から論文にまとめて発表している。 本研究の研究成果を社会に還元するためと、司法英語の正しい理解と啓蒙を兼ね、法学部向けの司法英語の教科書にまとめ、出版することも話が進んでおり、すでにその編集作業に取り掛かっているところである。
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