研究課題/領域番号 |
23320120
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岡村 三郎 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (30009724)
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研究分担者 |
LANGE Willi 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (40277752)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コーパス言語学 / コーパス構築 / データ駆動型 / ドイツ語基本語彙 / ドイツ語教育 / 辞書論 / 造語論 |
研究概要 |
これまでにドイツ語のプリントメディア(新聞及び週刊誌)、並びにインターネットフォーラム等のコーパスをもとにして、学習用ドイツ語基本語彙を選び出すために必要となる約200万語からなる十分大規模なコーパス構築は完了している。このコーパスの中から基本語彙および分野別ドイツ語語彙を選び出す基準(頻度、安定性、生産性を3:4:4の割合で配分する)も確定し、それを得られたコーパスに適用している。その結果は部分的にすでにネット上で提供している。(http://www.basic-german.com/) さらに基本語彙に関し、適切な例文を選び出すための統計的な手法として共起(Kookkurrenz)および例文の困難度(例文の中にこれまで得られた基本語彙が現れる度合い)を基準とすることを決定し、そのプログラムを行い、既に例文の難易度に合わせ3段階の区別を付け、ドイツ語基本語彙にふさわしい例文を選出し、例文のリストを完成した。これらのデータは全て、既にオンラインデータバンクに入力されている。それをもとにし学習用基本語彙編纂のための適切な例文を選び、それに日本語の訳を付け基本語彙辞典編纂の作業を始めた。なお7月末に北イタリアのBozen大学で開かれたIDT (国際ドイツ語教員連盟総会)および、9月末に北ドイツKiel大学で開かれたDeutscher Germanistentag (ドイツ・ゲルマニスト会議)に参加し、我々の研究プロジェクトについて報告し活発な議論を行い、我々の基本語彙をよりよいものにするための建設的な提言や刺激を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学習用ドイツ語基本語彙を選び出すために必要となる約200万語からなる十分大規模なコーパス構築は完了している。この中からドイツ語基本語彙を選び出す基準を確定し、それを得られたコーパスに適用している。さらに適切な例文を選び出すための統計的な手法を確定しコーパスに適用し、例文の難易度に合わせ3段階の区別を付け、ふさわしい例文を選出し例文リストを完成した。これらのデータを全て、オンラインデータバンクに入力した。これにより基本語彙辞典編纂の作業を完成させるために必要な準備が完了した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度になる平成26年度には、基本語彙辞典編纂の作業を完成させることがもっとも重要な課題になる。年度末までに基本語彙レマ(約4000語を予定)の意味記述をすませ,そして3段階の区別を付けすでにオンラインデータバンクに入力された例文の中から基本語彙辞典にとってもっともふさわしい例文を選び出し、利用者の便を考えて日本語訳をつける作業を終えるべく努力をしている。 それと平行して、多くのドイツ語学習者がウェブで利用することを念頭に、わかりやすいユーザーインターフェースを持つウェブデザインを開発し、さらに使いやすいものにする予定である。他方これまでに得られた成果を書籍として出版するために複数の出版社とコンタクトを取る。そして書籍化に際し必要になる全体的な構成、紙面のデザインをより洗練されたものするための努力を行う。 なおコーパス駆動型研究のもたらした興味深い知見(とりわけこれまでに公表されている他の基本語彙集との差異について)も含めこれまでの成果全体について報告するために共同で論文を執筆する。さらに研究協力者であるJoachim Scharloth教授(ドレスデン工科大学)の参加も得て、研究会またはシンポジウムを年度末に日本で行う予定である。
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