研究課題
本研究は、NIRS(近赤外線分光法測定装置[near-infrared spectroscopy])を用いて、第二言語としての英語におけるシャドーイングの脳内処理プロセスを解明し、さらにそのタスクによりリーディングや、文の意味・統語の処理の心的処理プロセスにいかに影響するか解明しようとするものであった。2014年度においては、まず英語シャドーイングの脳内処理プロセスがどのようなものか、そのタスクが英語読解における内的音声化(Subvocalization)にいかに影響を与えるかについてNIRSを使って測定・収集したデータを詳細に検討し、次のような結論を得た。(1)シャドーイングが、特にブローカ野、前頭連合野において、リスニングよりも活発な脳内処理を実現させる。(2)黙読時の内的音声化について、シャドーイングとリスニングタスク後で、何ら有意な差を生み出さない。(3)シャドーイングトレーニング後の読解時の内的音声化が高速化する。もう一つの研究実績としては、学習タスクとしてのシャドーイングが、日本人英語学習者の英語に関する顕在知識(explicit knowledge)および潜在知識(implicit knowledge)の形成にいかなる影響を与えるか検討した実験を具体的に実施したことである。最終的な結論については、さらなる検討が今後不可欠であるが、ほぼ以下のような成果が得られた。(1)シャドーイングにより、物語の再生を行うoral narrativeテストにおいて、総語数が増えるものの、総発話時間は増えず、スピーキングにおける流暢性(fluency)の獲得に有意に促進される。(2)時間的な制約のもとで、文の文法性を判断させるテストでは、その正確性(accuracy)が、シャドーイングタスクにより向上する傾向がみられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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