研究課題
本研究は、金剛三昧院・桜池院等の史料を調査することにより、高野山の宿坊史料の全体像を提示し、地方大名家の供養帳の史料的性格を明らかにするとともに、大名家供養帳の成立が大名権力の確立と密接に関わっていることを考察することを目的とする。上記の研究を行って成果をまとめるために、平成25年度は、以下の調査を行った。金剛三昧院については、並行して経蔵保管史料の調査を重点的に行った。その結果、従来から存在が明らかになっていた中世文書と共に、佐賀藩鍋島家等と金剛三昧院の交渉を内容とする近世文書、さらに院自身に関する近代文書を多数確認し、その概要に関する調査を行った。また概要調査と共に、中世文書及び近世文書の一部に関しては個別に写真撮影等の調査を行った。金剛三昧院では、平成23年度において特別書庫から519点の供養帳を、平成24年度には、津藩藤堂家・佐賀藩鍋島家との交渉を示す史料を確認しており、今回の調査で確認できた近世文書と併せて詳細に分析することを通して、大名家と院家の両者の交渉の中で作成される供養帳類の史料的性格を追求していくことができると考えられる。経蔵保管の史料については、その内容と量が豊富なため、調査状況は3/4程度の調査を行うにとどまった。また経蔵保管の史料に関しては、未発見の中世文書を確認し、その翻刻・分析を行った。桜池院については、諏訪・武田氏との関わりを中心としながら、近世に至っても継続する遺臣と宿坊の関係に注目しながら調査を実施した。具体的には、近世期の両者の連絡書翰を調査・分析して、その関係についての考察に努めた。また、貴重な戦国期の供養帳に関しては、翻刻を行い、その史料的性格を明らかにした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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