研究課題/領域番号 |
23320134
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菊地 大樹 東京大学, 史料編さん所, 准教授 (80272508)
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研究分担者 |
七海 雅人 東北学院大学, 文学部, 教授 (00405888)
太田 直之 國學院大學, 公私立大学の部局等, 准教授 (40445458)
佐藤 亜聖 (財)元興寺文化財研究所, その他部局等, 研究員 (40321947)
井上 聡 東京大学, 史料編さん所, 助教 (20302656)
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キーワード | 金石文 / 石造物 / 板碑 / 歴史情報資源化 / 歴史叙述 / 中世宗教 / 拓本 / 金石文拓本史料データベース |
研究概要 |
本年度は初年度にあたり、最初に打ち合わせ会議を行い、研究目的や具体的内容について改めて確認の上、各自の研究に従事した。①拓本史料および寺院史料調査・歴史地理学・歴史考古学研究:東京大学史料編纂所所蔵拓本史料の詳細調査によるデータカードの校正、元興寺文化財研究所所蔵金石文拓本のカード化・写真撮影、東日本大震災で被災した宮城県石巻市故勝倉元吉郎氏所蔵拓本の救出及び整理・調査等を行った。また、埼玉県荒川上流域の板碑調査、宮城県松島町雄島周辺海底板碑調査および拓本サンプル収集・データ作成、京都国立博物館所蔵金石文拓本調査、宮城県石巻市地域の板碑の現状調査他を行った。また、東京大学史料編纂所画像史料解析センター研究プロジェクトと協力して徳島県吉野川中流域以西地域を中心に、金石文拓本サンプルの採集を行った。関連して、歴史叙述への応用研究のために、愛知県名古屋市真福寺所蔵史料の調査を行った。また、金石文史料情報収集・交換のために、宗教史懇話会サマーセミナー・日本仏教綜合研究学会学術大会等の研究集会に参加した。著書・論文等を執筆し、初年度の成果のまとめや公開に努めた。②:歴史情報資源化・歴史地理学研究 東京大学史料編纂所架蔵金石文拓本史料を活用しながら研究を進めた。具体的には、東京大学史料編纂所金石文拓本史料データベースの改良を完成し、従来の不備を克服するとともに、検索の便宜を飛躍的に向上させることに成功した。その結果、従来から蓄積してきた金石文情報データをさらに校正・改良し、そのうち架蔵番号100番までのデータ公開を完了した。また、徳島県および宮城県の金石文調査に際してはGPS機能のついたデジタルカメラによる撮影を行い、歴史地理的分析のための基礎データを収集した。さらに、歴史地理情報システムの開発を受けて、その金石文情報資源化への応用的研究を行い、金石文DBとの連携検索を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた東日本および西日本の金石文集中地域におけるフィールド調査・拓本サンプルおよび歴史地理情報収集、および拓本所蔵機関における拓本調査に着手することができた。また、金石文拓本データベースの改良を完成し、新規データの一部を追加するとともに、歴史地理情報システムの応用についての研究に着手し、金石文拓本DBとの連携検索機能を開発した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、金石文拓本史料・歴史地理情報のフィールドワークによるサンプル収集を大きな柱の一つとする。初年度としては概ね目標を達成したものの、連携研究者の連絡・協力体制をさらに深めながらフィールドや調査回数を増やしてゆく必要がある。また、所蔵機関における拓本調査もさらに対象を広げる計画である。そのために所在情報を収集する学術情報ネットワークをさらに構築してゆく必要があり、各種の研究集会等に積極的に参加することが有効である。また、歴史地理情報システムの完成を受けて、その応用的研究を進め、金石文拓本DBとの連携検索機能を開発できたことで、これを応用しながら歴史資料として金石文拓本をさらに活用することが可能となり、金石文拓本史料の歴史叙述・宗教史研究・歴史地理学への応用を効率的に進めることができるだろう。
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