研究課題/領域番号 |
23320137
|
研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
舘野 和己 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (70171725)
|
研究分担者 |
石崎 研二 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (10281239)
宮路 淳子 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (30403322)
出田 和久 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (40128335)
奥村 和美 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (80329903)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 古代都城 / 古代都市 / 環境論 |
研究概要 |
研究計画に基づき、24年度は研究の基礎をいっそう固めることをめざした。そのために、以下のように、古代都市・都城の環境に関わる史料・資料の収集を継続した。①『日本後紀』『続日本後紀』『扶桑略記』『日本霊異記』『今昔物語集』などの史書や文学作品から、環境やそれに関わる信仰、災害関係の記事などを抽出した。また開発の果実に関わって、『延喜式』に見える諸国の税品目を整理した。②平城京内から出土した動物遺存体のデータを集成し、その動物種と分布を調査する作業を継続した。③藤原京域について、遺構や遺物等のデータベース化の作業を進めた。④奈良盆地内の発掘現場で、低地を構成する堆積物のサンプリングと、一部の年代測定を実施した。⑤環境関係図書を収集した。 また古代都城・都市関係遺跡の調査としては、①国内では、平泉、多賀城及びそれと関連して分布する桃生城・徳丹城・胆沢城・志波城跡などの城柵官衙遺跡、大宰府及びその周辺に展開する竈門神社・宗像神社・橘広庭宮跡伝承地など、東北と九州で現地調査を行った。②国外では、メンバー4名が韓国で、新羅の都城のあった慶州、百済の都城が置かれた公州・扶余・ソウルで、韓国人研究者の協力を得て、都城関連遺跡などの現地調査を実施した。 次に研究会としては、奈良女子大学古代学学術研究センターと共催で、3回の研究会・シンポジウムを行った。そこでは①大和の山々と都城との関わり、③古代都市の環境・景観復原のためのGISデータベースを取り上げ、特に③都城制研究集会(シンポジウム)「古代都城と寺社」(2013年2月16日)では、大宰府も視野に入れて、難波宮・大津宮・平城京・長岡京・平安京などの古代都城をめぐる信仰形態を、寺社に焦点をあてて検討した。そこではメンバーは7世紀の宮都と寺社との関係を考察する報告を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、研究の基礎をいっそう固めるための資料収集作業や、環境関係図書の収集、それに国内外の関係遺跡の現地調査、研究会・シンポジウムの開催などを行うことができた。これらによって、課題追究を深めるための資料を入手することができ、また研究会やシンポジウムの開催、国内の都市遺跡の調査、それに23年度の中国での現地調査に引き続き、韓国での調査を行ったことなどによって、課題への考察を深めることが可能になるとともに、国内外の研究者との連携を深め、東アジア的視野で古代都城・都市の環境論研究を深める基盤ができた。
|
今後の研究の推進方策 |
過去2年間の基礎作業の上に立ち、研究の基盤を広げるために、古代都市・都城の環境に関わる史資料のうち、残された部分について調査・収集作業を継続するとともに、蓄積された成果を総合する。具体的には、歴史学分野と国文学分野では、引き続き編纂史料や文学作品などから環境関連記事を収集し、環境の実態や環境観の分析を進める。地理学分野では、関係資料を収集し、古代都城・都市の立地を検討するとともに、藤原京域の遺構平面図を中心にGISデータベースを構築し、公開をめざす。考古学分野では、特に都城遺跡における動物の存在状況の復元と、その利用の実態の解明を目指す。 これらの作業と並行して、国府などを対象に古代都市遺跡の現地調査を行う。さらに東アジア的視野の中で日本の古代都城・都市を考察するために、海外の都城・都市遺跡の現地調査も行うとともに、海外研究者を招いて、東アジアの古代都城・都市の立地環境をめぐる国際シンポジウムを行う。 そして各分野でのこれまでの研究成果の上に立って、研究全体を総括する。
|