研究課題/領域番号 |
23320138
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
市村 高男 高知大学, 教育研究部総合科学系, 教授 (80294817)
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研究分担者 |
先山 徹 兵庫県立大学, 付置研究所, 准教授 (20244692)
佐藤 亜聖 公益財団法人元興寺文化財研究所, その他部局等, 研究員 (40321947)
高津 孝 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (70206770)
福島 金治 愛知学院大学, 文学部, 教授 (70319177)
桃崎 祐輔 福岡大学, 人文学部, 教授 (60323218)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 石造物 / 石材識別 / 形態・様式 / 畿内系・在地系 / 薩摩塔・碇石 / 韓国石塔 / 技術伝播 / 地域的展開 |
研究概要 |
本年度は、メンバー全体での国内調査・研究会を大分県別府市・臼杵市等と愛媛県今治市・広島県尾道市で実施し、国内の個別調査を京都市・長崎県小値賀町・茨城県神栖市で行った。海外調査は韓国済州市・西帰浦市のみであったが、別に韓国から研究者を招聘し、共同研究会と合わせて奈良・滋賀県内の半島風石塔を中心に検討会を実施した。 国内調査・研究会では、大分県の石造物が畿内系石造文化の影響を強く受けつつも、明確な地域色を有していること、同じく愛媛県今治市から対岸の広島県尾道市にかけての一帯は、畿内石造技術の強い影響と当該地域の独自性が融合した、中四国地域で最も優れた石造技術・文化を発展させたことを確認した。 国内の個別調査は、浙江石材で造られた薩摩塔・碇石の調査と、京都に残る薩摩産山川石製五輪塔の調査が中心であり、前者によって、それらの石材が梅園石・小渓石と花崗岩であることを確認し、いずれも中国からもたらされたものであり、九州西海岸から山口県域に分布し、これらの地域と浙江船との関係を浮上させた。ただし、碇石の1点が利根川河口近くで確認されたことから、文字史料に現れない浙江船の東国来航の可能性を提示することになった。また、山川石製五輪塔は関ヶ原前夜の島津義久逆修供養塔で、鹿児島県では例を見ない大型の優品であることから、当時の政治状況を考える重要な資料となることを確認した。 韓国済州市・西帰浦市の調査では、李朝期の廃寺政策によって石塔のほとんどが失われていたが、実見することができた五層石塔1基は、昨年度まで調査した半島の石塔群に比べ、日本の層塔との類似点が多く観察され、12・13世紀以降、日韓の石造技術・文化交流がかなり行われていた可能性を伺わせた。また、韓国の研究者との共同研究会と現物を前にした意見交換会を通じ、日韓共同研究によって中世石造物研究の可能性が大きく拓ける可能性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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