研究課題/領域番号 |
23320140
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
高良 倉吉 琉球大学, 法文学部, 教授 (60264470)
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研究分担者 |
赤嶺 守 琉球大学, 法文学部, 教授 (20212417)
豊見山 和行 琉球大学, 教育学部, 教授 (40211403)
赤嶺 政信 琉球大学, 法文学部, 教授 (40192893)
大城 學 琉球大学, 法文学部, 教授 (90572058)
狩俣 繁久 琉球大学, 法文学部, 教授 (50224712)
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キーワード | 琉球 / 琉球語・琉球方言 / 琉球王国 / 言語運用 / 言語接触 / 官話 / 琉歌 / 琉球芸能 |
研究概要 |
歴史班は、近世琉球王国の内政・外交の両面にわたる言語運用の全体像を確認しながら、特に島嶼行政及び海運に係わる言語運用の問題と、近世語彙集「節用集」あるいは官話課本(官話学習テキスト)に含まれる歴史的な問題を重点的に検討した。生活・文化班は、久高島の民俗語彙や宮古・八重山の琉歌集及び八重山の狂言芸能に投影されている中央語=首里語の問題を主に検討した。言語班は、「琉球官話集」及び官話課本群の検討や中国語資料から析出できる琉球語の問題、あるいは近世資料の琉球語表記の実態、沖縄島中南部の方言群に見られる首里・那覇語との言語接触の問題、宮古大神島の言語接触の問題などを検討した。 これらの作業を進めながら、シンポジウム「言語接触から見た前近代の琉球社会」(平成23年12月、琉球大学国際沖縄研究所と共催)を開き、課題や論点に関する認識を深めた。また、琉球・中国交流史を念頭において課題を確認するために、第13回中琉歴史関係国際学術会議(平成23年11月、福建師範大学主催)に科研メンバー4名が参加し報告・討論を行った。さらに、ほぼ全員が参加する久高島合宿ワーキング(平成24年3月)を開催して1年間の取り組み状況を相互に点検するとともに、次年度に向けた展望について議論し各自の役割を確認した。 今年度の研究活動を通じて確認できたのは、近世琉球社会の言語運用がまさに多相であるということであり、その実相を明らかにするためには学問ジャンルを超えた多様・多層なアプローチが不可欠であるということであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
取り組むべき課題がほぼ全員に共有されており、各班及びメンバーが具体的な検討テーマを構築しつつある。また、言語運用を横断的に検討する学問的意義についてもほぼ共有されている。その上で、複数のアプローチにおいて検討すべき論点に関しては、共同的・総合的研究にふさわしい相互乗り入れが必要だとの問題意識が形成されつつあり、その状況をさらに加速させたい。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の取り組みをそのまま継続することを基本とする。ただし、テーマによっては複数の学問ジャンルが乗り入れる必要があるため、各班の活動を前年度よりは柔軟に展開したい。具体的には、言語班の官話課本検討グループと歴史班の琉中関係史を連携させ、官話課本に含まれる首里王府の意図に接近することなどを目指したい。 問題意識の共有をさらに深化し、取り組み状況を確認するためのフォーラムもしくはワーキング会議を適宜開催したい。
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