研究課題/領域番号 |
23320142
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
佐賀 朝 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (40319778)
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研究分担者 |
塚田 孝 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (60126125)
吉田 伸之 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (40092374)
人見 佐知子 甲南大学, 人間科学研究所, 博士研究員 (00457029)
神田 由築 お茶の水女子大学, 文教育学部, 准教授 (60320925)
小野沢 あかね 立教大学, 文学部, 教授 (00276700)
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キーワード | 日本史 / ジェンダー / 遊郭 / 比較類型 / 都市社会史 / 売春問題 |
研究概要 |
本研究は、近世~近代日本の遊廓について、列島諸地域の多様な事例の発掘と具体的分析を通じて都市社会史の観点から比較類型化し、その歴史的特質を解明するものである。 初年度となった2011年度は、東日本・西日本の部会を各2回、現地調査・研究会(金沢)を1回開催し、個別研究報告のほか、先行研究の批判的検討と研究課題の整理と討議を進め、これとは別にデータベース構築の進捗状捉の確認のため、データベース小研究会を1回開催し、年度末には年度総括研究会も開催した。 部会では、本共同研究の関係者が2008年に行ったシンポジウム「遊廓社会」以来の研究成果の確認と、現時点での課題整理を行ったほか、明治初年の東京府における芸娼妓解放令をめぐる動向や、近世金沢の茶屋町、近代金沢における第九師団と遊廓の関係、近世大坂天満宮における遊所の実態などに関する新たな研究報告を得ることができた。金沢で相生新地と明治初年の遊廓統制法令に関わる史料の収集を行ったほか、佐賀県立図書館の芸娼妓営業願いの綴り(公文書)も収集することができ、今後、その分析を進めていく。 遊廓・遊所データベースの構築作業においても、当初別立てと考えていた明治期遊廓統制法令に関する情報も組み込んだ形でデータサンプルを作成した。その上で奈良県、滋賀県、兵庫県における明治初年の法令の比較検討に着手し、その前提をなす各地域の遊廓社会の存在形態にも検討対象を広げつつある。 以上により、列島各地の遊廓と遊廓関係法令を比較していくための基礎的情報と史料の収集が進展し、2年目以降の本格的な研究推進に向けたステップとすることができたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本部会・西日本部会、現地調査・研究会などの開催は、ほぼ計画どおりに実現し、研究課題を達成するための情報収集や研究交流の成果は比較的順調に得られつつある。また次年度の刊行を予定している研究論文集のための研究成果の蓄積も進んでいる。ただし、遊廓データベースについては、実際にサンプルデータの作成を進めるなかで、当初予定していた簡易な遊所の一覧である第一次データベースを作成するよりも、より内容情報の豊富な府県別のデータベースを積み重ねる方が有意義であることがわかってきたため、一定の修正が必要となってきた。そのため、当初の第二次データベースと統合したデータの構築を進める方向への転換が必要となっており、この面ではさらなる進展が課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
基本的な研究活動運営は、これまでどおりの方向で進め、東西の各部会の定期的な開催のほか、研究論文集の刊行準備を積極的に進めたい。遊廓データベースについては、初年度に作成した府県別サンプルデータを基礎に、研究分担者・連携研究者・研究協力者の全体の共同と分担によって、さらに作業の推進をはかりたい。
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