研究課題/領域番号 |
23320143
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中島 圭一 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (50251476)
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研究分担者 |
小野 正敏 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構本部, なし, 理事 (00185646)
佐伯 弘次 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (70167419)
住吉 朋彦 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 教授 (80327668)
高木 徳郎 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (00318734)
高橋 一樹 武蔵大学, 人文学部, 教授 (80300680)
藤原 重雄 東京大学, 史料編纂所, 助教 (40313192)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 日本史 / 中世史 / 生産技術 / 量産化 |
研究実績の概要 |
本研究の中間報告と位置付けている企画展「時代をつくった技―中世の生産革命―」(7月2日~9月1日 国立歴史民俗博物館、9月13日~11月4日 広島県立歴史博物館)を開催し、展示図録の刊行や関連の講演・セミナー等の実施とあわせて、研究成果を社会に向けて発信した。展示では、中世における様々な分野の生産技術の発達を多面的に取り上げているが、中世的商品生産が本格化する12世紀と近世的生産が始まる16世紀後半とともに、量産化が始まる14~15世紀を重要な画期として位置づけながら全体を構成した。 また、前年度に引き続いて中世後半期における技術革新の実例を収集し、技術的系譜を検証するため、9つの班に分かれての史資料調査のほか、和歌山県内の荘園水利調査ならびに伊豆半島中・南部の生産・流通拠点の調査を実施した。和歌山では、改修を重ねて現在も使用している中世以来の用水路を辿るとともに、岩を穿って水路を通した工事の跡や後世の改修がほとんど入っていない棚田への用水路などを手がかりに、中世における灌漑技術に関する知見を深め、伊豆では鯉名津という港と製鉄遺跡を近隣に抱えた蒲屋御厨の重要性に注目した。なお、上記の企画展の成果を受けて調査計画を再検討したため、沖縄県内の調査は26年度に実施し、八重山地方の村落遺跡とその出土・採集遺物から当該地域と中世日本との生産技術の交流について検討した。他方、中世フランスの生産遺跡の調査を若干名で実施し、中世日本との比較研究の可能性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
企画展では本研究の成果を社会に向けて大きくアピールするとともに、展示の立案・構成や図録の作成の過程で中世の生産技術の発展に関する新たな知見を得ることができた。それゆえに沖縄調査を延期することになったが、他の調査では所期の成果を得ることができ、特に和歌山の荘園水利調査では多くの知見を得た。また、本研究の開始時点では想定していなかった、中世フランスとの比較研究の視点が得られたことも大きな収穫である。
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今後の研究の推進方策 |
25年度から延期した沖縄調査を実施するとともに、荘園水利調査に力点を置いて中世の農業技術の検討を推進する。また、本研究のまとめとなるシンポジウムを開催し、その成果を踏まえて研究報告書を刊行する。
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