研究課題/領域番号 |
23320144
|
研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
新井 勝紘 専修大学, 文学部, 教授 (40222707)
|
研究分担者 |
西村 明 鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (00381145)
粟津 賢太 南山大学, 南山宗教文化研究所, 研究員 (30558911)
|
キーワード | 日本史 / 社会学 / 宗教学 / 戦争 / メディア / 郵便 / 民衆史 / 記憶 |
研究概要 |
今年度は研究会議を2回開催した。2011年7月8日には南山大学宗教文化研究所にて、今回の科研全体および今年度の調査計画を議論し、確認した。2012年3月10日には小野寺拓也氏による「野戦郵便からみる「ふつうのドイツ兵」-戦友意識と「男らしさ」-」のタイトルで研究報告を受けて議論を行い、ドイツ兵士の手紙から読みとれる兵士の体験や意識だけでなく、ドイツにおける野戦郵便の研究の現状についても見識を深めることができた。 また、郵便研究の拠点ともいえる逓信総合博物館(郵政資料館)とも連携し、同館所蔵の資料である『逓信の知識』『大逓信』を調査・研究し、その成果が『郵政資料館研究紀要』第3号に掲載された。 次に、今年度は以下の調査地にて調査を行った。 1.2011年7月8日~10日名古屋・各務原調査。 ピースあいち、横井庄一記念館では、戦争展示調査と聞き取り調査を行った。 木曽川文化史料館では、当資料館の所蔵する軍事郵便や軍事郵便を扱った紙芝居、カルタなどの資料を調査・撮影した。なお、当館での調査の模様は、2011年8月17日にMBC(南日本放送)の情報番組「どーんと鹿児島」において、特集「戦地からの手紙~軍事郵便が伝えるメッセージ~」として放送された。 岐阜県陸軍墓地・手力雄神社・愛知県護国神社では、戦争記念碑の調査・撮影を行った。 2.2011年9月18日国立歴史民俗博物館調査。 国立歴史民俗博物館の近代と現代の展示から、日本のナショナル・ミュージアムにおいて、戦争やその体験がどのように伝えられているのか、軍事郵便が展示資料として活用されているのかを調査した。 3.2012年1月22・23日明石・神戸調査。 明石市の軍事郵便保存会にて同会所蔵の軍事郵便関係資料の撮影・聞き取り調査を行い、保存会の所蔵する軍事郵便の状況や分類の仕方、また保存会の活動などについての情報を得た。 兵庫県神戸護国神社では、境内の戦争記念碑の調査・撮影を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
木曽川文化史料館や軍事郵便保存会などでの調査によって、東海地方や関西地方における軍事郵便の実態解明については一定の進度を見た。さらに、軍事郵便を読み進めると同時に、軍事郵便を登場させた同時期の紙芝居やカルタ、逓信省の雑誌などを分析することで、戦地と銃後の体験の共有化の一端を見ることが出来た。また、戦後軍事郵便が翻刻・刊行された意味については、軍事郵便保存会へのインタビューから、蒐集の動機などを知ることが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、昨年度に引き続き、全国各地に残る軍事郵便の実態調査を行う。まず、多数の軍事郵便を収集・保存している軍事郵便保存会とのコンタクトを継続し、情報の共有を深める。さらに、戦後に軍事郵便が翻刻・刊行されている意味を探るため、軍事郵便を翻刻・刊行した個人および団体の数、所在、刊行物の詳細について調査し、著作者へもコンタクトをとり、聞き取り調査等によって軍事郵便を翻刻・刊行した動機を明らかにする。 また、研究会を開き、外部の研究者による報告を依頼することにより、軍事郵便研究の視野を広める。 成果の公表も積極的に行う。具体的には『専修史学』第53号(2012年11月発行予定)にて「軍事郵便特集号」を組むことがすでに決定している。
|