研究課題/領域番号 |
23320145
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
小口 雅史 法政大学, 文学部, 教授 (00177198)
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研究分担者 |
熊谷 公男 東北学院大学, 文学部, 教授 (70153343)
天野 哲也 北海道大学, 総合博物館, 教授 (90125279)
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キーワード | 北方交易・交流 / 津軽海峡世界 / 続縄文土器の交流 / 擦文土器の交流 / 外来系土器 / 鉄器の流通経路 / 渡嶋世界 |
研究概要 |
1.秋田城関係史料集成…研究代表者が編集した『青森県史』古代資料編以後の集成に入った。文献史料についてはとくに追加すべきものは見出せなかったが、出土文字資料については120点以上の増加があり、青森県史と同じフォーマットでの整理に入った。 2.秋田城周辺の土器の調査…まず現地の土器について、代表的なものを主要メンバーで調査撮影した。 その過程で、秋田県より研究協力者として参加している研究者の間で、土器のまとめ方について見解の相違があることが明らかになった。次年度以降多県の研究者も交えて個別研究に入る計画を立てた。 3.北日本産須恵器の調査研究…青森出土の須恵器と北海道・秋田出土の須恵器について比較検討に入った。従来は五所川原産か否かという視点しかなかったが、実態顕微鏡や成分分析、接写分析などを組み合わせて、もう少し丁寧な調査に入る必要があることがあきらかになった。既存の北海道の須恵器の集成表もこれにそって改編していく準備作業に入った。 4.擦文土器の分布と相互連関調査…青苗の位置付けに加えて、南限の確定とその歴史的意味づけを明らかにする必要があることが確認された。秋田県の擦文は出土例が少ないので、悉皆調査に入った。それをもとに津軽平野の擦文土器との比較に入った。 5.鉄器の流通経路の分析…秋田城出土の鉄製羽釜を再分析した。大陸由来の可能性は薄くなったが、なお他の事例との比較を続けていくことにした。また北海道において自然科学分析に回すことの出来る出土品を精査しリストアップした。次年度に分析に出す計画を立てた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
9.研究実績の概要欄に記したように、交付申請の各項目について、最初の準備はほぼ達成された。ただ現時点では各参加者のもとに情報があるものも多く、次年度以降、それを集成して情報共有を徹底していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、研究全体の方向性と調査対象の整備に時間を費やし、おおむね申請時の研究態勢で成果が挙げられる予想が立った。それにもとづいて、次年度以降は具体例の収集。整理と、何らかの形でのデータ・ベース化により、全メンバーが効率よく情報を共有し、実効性のある研究を進めていく態勢作りに留意する必要がある。 また次年度以降、自然科学的分析は可能なものから急いで実施する必要がある。自然科学的分析の結果は従来の歴史学・考古学の成果とずれることも多く、その調整に十分時間を割く必要があると考えるからである。
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