研究概要 |
2年目にあたり、まず連携研究者・研究協力者の全体会議(15名)を6月16日に代表者が所属する国文学研究資料館(立川市)で開催し、本研究の目的と今年度の計画について確認と討議を行った。これに基づいて、整理と目録化のためのマニュアルを作成し、その改訂を進めながら実施した。現地調査は、7月3日~7日(13名)、8月21日~26日(31名)、12月18日~24日(32名)の3回を実施し、研究協力者の参加を得て、江戸来状群の整理と目録化とその構造分析を進めた。目録化は本年度約6,500点で総計1万点を超えるとともに、デジタル撮影は780点、3,060カットで総計860点、3,420カットで、これらの内容と構造分析を進めている。 本研究の対象である江戸来状群は、江戸中期以降約200年間に亘り江戸店から松坂本店に定期的に送付された文書群で、そのほとんどが書状形式であり、その内容は、江戸店の経営に関わる様々な案件に関わって、その処理法の本店指示窺いや支払い・帳簿記載方法についての窺いなど多岐に及ぶ内容であることが確認できた。また経営帳簿では数値だけであるが、その実態を具体的に裏付けられる内容であることも判明できた。また、節季の挨拶状など日常生活に関わっての儀礼的な文書も多いが、伊勢商人としての人的ネットワークの解明にも寄与する内容である。ただし、江戸店からの来状だけでなく、松阪本店で送受した文書も混在していることも明らかとなった。 3月16日には、文書を収蔵する石水博物館で、川喜田・長井両家の典籍の調査・研究成果として「伊勢商人川喜田家代々の文芸活動の研究-石水博物館所蔵文献資料を手がかりに-」と題するシンポジウムが開催されたので、本研究とも密接に関係する内容であるので研究代表者が参加した。
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