研究課題/領域番号 |
23320150
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
新村 容子 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (80362945)
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研究分担者 |
斯波 義信 東洋文庫, 研究部, 文庫長 (00039950)
本野 英一 早稲田大学, 政経学部, 教授 (20183973)
松重 充浩 日本大学, 文理学部, 教授 (00275380)
城山 智子 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (60281763)
岡本 隆司 京都府立大学, 文学部, 准教授 (70260742)
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キーワード | モリソンパンフレット / 東洋文庫 / 『モリソンパンフレットの世界』 / デジタルデータ化 |
研究概要 |
本研究の研究目的は、東洋文庫が所蔵するモリソンパンフレットの高い史料的価値を世界にアッピールすると同時に、零細でバラバラで扱いにくいパンフレットの利用環境を整えることにある。以上二つの研究目的にアプローチするために、本年度の研究計画は、第一に、モリソンパンフレットのデジタルデータ化の作業を進めるとともに、個々のパンフレットについて、サマリーを附した詳細な目録を作成すること、第二に、本研究の研究分担者各人が、モリソンパンフレットの文献的位置付けをふまえた上で、各人のテーマと関連させてパンフレット資料を考察し、他の同時代資料を参照しつつ、モリソンパンフレットを利用した東アジア近現代史研究の新たな可能性を提示することに置かれた。 第一の課題に関しては、平成23年度中に、12,571コマ分について、マイクロフィルムからデジタルデータへの変換と、確認作業を終え、近日中の公開に備えている。目録及びサマリー作成作業においては、大学院生のアルバイトを雇い、5人でデータ作成を進めた。23年度の1年間に、全7200件のパンフレットのうち507件についてデータを作成し、エクセル入力を完了した。第二の課題に関しては、モリソンパンフレットを利用した研究成果を発表する研究会を23年度中に2回開催した。それらの研究成果は、2012年3月31日発行の斯波義信編『モリソンパンフレットの世界』(東洋文庫)として公開された。本書には、モリソンパンフレットそのものの史料的な価値や、パンフレットを蒐集したモリソンはいかなる観点に依拠して蒐集していたのか、を紹介することを狙いとした論考が3本(岡本隆司、新村容子、矢吹晋)と、各人の個別のテーマに関する研究においてモリソンパンフレットを利用した論考が3本(城山智子、村上衛、本野英一)収録されている。『モリソンパンフレットの世界』の刊行は、本研究会の活動の出発点を示すとともに、今後の研究の発展を展望するものでもある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
モリソンパンフレットは極めて微細なパンフレットを集めた資料群である。その利用を促進するためには、デジタルデータ化と目録作成の作業が不可欠である。その作業は順調に進展している。利用促進のためには、同時に、モリソンパンフレットの利用方法を具体的に提示することも不可欠である。2012年3月末に刊行された『モリソンパンフレットの世界』は、研究分担者各人が、それぞれのテーマに即して、モリソンパンフレットの位置づけをおこないつつ、他のどのような史料を参照して議論を組み立てていくか、を具体的に提示しており、モリソンパンフレットを利用して研究を進めたいと考えている研究者に参照される有効な文献となるであろう。『モリソンパンフレットの世界』が刊行できたことを以て、当初の計画以上に進展している、と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
23年度の研究成果において示された研究の基本的な方向性は、24年度の研究においても継続される。同時に、新しい試みを探ることも必要かもしれない。例えば、パンフレットのデジタルデータ化作業・目録作成作業を、研究分担者の個別研究テーマと連関させて重点的に、選択的に進めることは可能か、検討する余地はあるであろう。 また、モリソンパンフレットに対する史料批判をおこなうためには、モリソン自身に関する研究を進めることも必要であろう。モリソンパンフレットにはキリスト教に関連するものが多く含まれているにもかかわらず、モリソンとキリスト教信仰や宣教師団体の活動との関わりなど、まだ解明されていないことは多い。
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