研究課題/領域番号 |
23320153
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
奥村 哲 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (80144187)
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研究分担者 |
笹川 裕史 埼玉大学, 教養学部, 教授 (10196149)
山本 真 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (20316681)
蒲 豊彦 京都橘大学, 文学部, 教授 (30233919)
鄭 浩瀾 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 准教授 (40458964)
丸田 孝志 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (70299288)
金野 純 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (80553982)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 基層社会 / 構造的変動 / 総力戦 / 総動員 / 土地改革 |
研究概要 |
中国の体制の移行をともなう構造的変動を基層社会から総合的に把握する作業の一環として、以下の各自の論文作成などの他、7月28日に東京大学東洋文化研究所においてワークショップ「中国基層社会史研究における比較史的視座」を開催した。このワークショップは基層社会のあり方を把握する方法として、比較を重視したもので、笹川裕史『中華人民共和国誕生の社会史』(講談社選書メチエ、2011年)と坂根嘉弘『〈家〉と〈村〉 日本伝統社会と経済発展』(農文協、2011年)をもとに、議論を深めた。また中国近現代史研究の現状・課題・方法に関する報告を受け、討論をした。この報告と討論の内容を、中国基層社会史研究会編『ワークショップ 中国基層社会史研究における比較史的視座』(汲古書院、非売品、2012年)として刊行した。 もう一つ、奥村哲編『変革期の基層社会――総力戦と中国・日本』(創土社、2013年)を刊行した。これは科研費メンバーが2011年に開催したシンポジウムをもとにした論文集であり、日中の比較に基づいて、土地改革を中心に国家と基層社会の変動をとらえようとしたものであり、大きな反響が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先述のように、日中の比較をもとに、土地改革の歴史的意味の捉え直しを中心とした論文集を刊行した。これによって、土地改革を、同時性を持つ日本や台湾などの農地改革との連関・比較によって捉えなおすことができた。また中華人民共和国建国初期の共産党の基層社会の把握の程度も示された。
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今後の研究の推進方策 |
土地改革の歴史的意味についてはかなり明らかにしたので、これからは集団化に向かう状況を明らかにすること、視野を広げるために、日本だけでなく、台湾の研究も取り込んでいくことが、重要な課題になる。また今年度が最終年度になるので、次に進む足場を築く必要がある。そのために、通常の史料収集と研究会の他、7月に中国と台湾からも研究者を呼んで国際シンポジウムを開催する。中心のテーマは、集団化の要因となった食糧調達問題であり、冷戦下の日本の食管制度や同時期の台湾の農地改革をあわせ考えることで、歴史的な捉え直しを進めたい。
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