研究課題/領域番号 |
23320163
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
中野 隆生 学習院大学, 文学部, 教授 (90189001)
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研究分担者 |
椿 建也 中京大学, 経済学部, 教授 (50278248)
北村 昌史 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20242993)
羽貝 正美 東京経済大学, 現代法学部, 教授 (60208410)
本内 直樹 中部大学, 人文学部, 准教授 (10454365)
永山 のどか 青山学院大学, 経済学部, 准教授 (20547517)
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キーワード | 西洋史 / 都市史 / 住宅史 / 経済史 / 建築史 |
研究概要 |
本年度は4度の研究会を実施した。本研究メンバーのうち5名が報告し、外部から3名の報告者を招いた。本研究メンバーの報告は、北村昌史「ブルーノ・タウト建築の社会史へ向けて-森のジードルングを手掛かりに-」、中野隆生「パリ郊外、シュレーヌ田園都市の居住空間と民衆生活-1920~50年代-」、松本裕「パリ市における近・現代都市型住宅の再整備と都市組織の変遷-ZAC(協議整備区域)計画をめぐって-」、白川耕一「1970年代西ドイツにおける家族の変容と社会国家-キリスト教民主同盟CDUの議論を中心に-」、平野奈津恵(研究協力者)「19世紀フランス炭鉱都市の住民と住宅-ランス(LENS)の事例をてがかりに-」であり、ゲストのそれは、渡邉研司(イギリス建築史)「田園都市とニュータウンをつなぐもの-MARS=CIAMグループの活動について-」、初田香成(日本の都市計画史・建築史)「戦後日本における都市再開発の形成と展開-土地権利関係に着目して-」、澤田誠二(ドイツ建築の現状)「ベルリンの"住み継がれる団地"-インターバウ(国際建築展覧会)の50年、1957~2007-」であった。 これによって、メンバー間で現代ヨーロッパの都市・住宅にたいする歴史的な視座や方法の共通了解が進み、建築学・都市計画学からの接近や知見への理解が深まった。学際的交流を通じた方法上の練磨をめざす本研究にとって、建築学・都市計画学の専門家との論議は示唆に満ちており、今後も、積極的に継続的な交流を進めていく。 他方、本研究メンバーは、それぞれ、対象とするヨーロッパの国々で史料調査を実施し、現地の専門家との交流を重ねた。国際的な学的交流はさしあたり個人的レヴェルにとどまったが、英・仏・独における都市史・住宅史研究の現状に触れたことで、平成24年度のシンポジウム、25年度の国際シンポジウムへ向けて、貴重な情報や示唆がもたらされた。史料調査の成果はただちに本研究の推進に生かさるが、さして遠くない時期に著作や講演などのなかにも反映してくるはずである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年間4回の研究会を通じ、英・仏・独そして日本の都市と住宅にかんする知見を、本研究メンバー相互間での討論や、ゲストに招いた建築学・都市計画学の専門家との討論を通じて拡充された。しかし、地理学や社会学の専門家とは交流を実現できなかった。また、本研究のメンバーは全員が、1~3回、ヨーロッパへ出向いて実証研究にあたるとともに、現地の歴史研究者と交流を重ねた。ただ、英・仏・独における都市・住宅史研究の現状の把握や、そのメンバー間における共有は予定通りにはいかず、必ずしも十分ではない状態にとどまっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、学際的な議論を積み重ねつつ、国際的な研究交流を進めるが、同時に、多様な観点からする歴史研究の視座や方法により大きな関心を払うつもりである。英・仏.独における都市・住宅研究の現状にかんしては平成24年度中に予定するシンポジウムへ向けメンバー間で認識を共有していき、シンポジウムにおいて、1920~30年代ヨーロッパに出現した現代的な居住のあり方に焦点をあてて、都市・住宅の歴史と現在について論じることを検討している。平成25年度の国際シンポジウムにかんしても、英・仏・独から招聘する研究者を確定し協議を進める。また、これらのシンポジウムを踏まえた論集の刊行も視野におさめつつ、今後の研究計画を練り、推進する予定である。
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