研究課題/領域番号 |
23320178
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
小野寺 淳 茨城大学, 教育学部, 教授 (90204263)
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研究分担者 |
平井 松午 徳島大学, ソシオ・アーツサイエンス研究部, 教授 (20156631)
小田 匡保 駒澤大学, 文学部, 教授 (70224243)
上杉 和央 京都府立大学, 文学部, 准教授 (70379030)
大島 規江 茨城大学, 教育学部, 准教授 (90420661)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ライデン大学 / シーボルト / 地図 / 絵図 / オランダ |
研究概要 |
本年度は,ライデン大学図書館所蔵シーボルトコレクションの古地図と類似する国内の古地図との比較研究を中心に実施した.大別すると,①大名旧蔵の古地図との比較研究,②刊行図の比較研究である. ① たとえば,臼杵城主稲葉家のように,大名が地図収集を行った例が知られるようになった.この例として,本年度は篠山城主青山家,出石城主仙石家を科研メンバーで合同調査を実施した.とくに青山家旧蔵の古地図は状態が悪かったため,補修をして調査を行った. ② 刊行図については,下記の所蔵機関で調査を行った.北海道大学附属北方資料室・函館市立中央図書館・仙台市立博物館・東北大学附属図書館、宮城県図書館、福島県歴史資料館、米沢市立上杉博物館・船橋市立西図書館・岐阜県図書館・京都府立総合資料館・神戸市立博物館・長崎歴史文化博物館・長崎市立シーボルト記念館 以上の調査を実施した中で,岐阜県図書館では,シーボルト所蔵印を押された長久保赤水「改正日本輿地路程全図」を見出し,シーボルト収集古地図の中には海外へ流出したものがあることが明らかになった.また,1845年のシーボルトとホフマン,1896年のセルリエ,1996年のカーレン,これら3つの目録を対照し,ライデン大学図書館シーボルトコレクションの中にはブロムホフとフィッセルのコレクションが混じっているが,第一次来日時に収集した古地図類をおおむね特定することができた(小田匡保,2013).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、次のように進めている。23年度は、ライデン大学図書館でシーボルト収集地図の紙質・色料,表現様式などの原本調査と撮影などを行った。24年度の計画はシーボルト収集地図の作成年(あるいは出版年),作成者(あるいは画工など),作成目的,伝来などを日本国内に残る類似の古地図と比較研究し,その特色を解明することであった。この目的を達成するために、国内各地の古地図所蔵機関で調査を実施し、シーボルト収集地図の刊行図のうち2~3点は国内に現存しない刊行年次の刊行図であること、1点は岐阜県図書館に所蔵されていることなど、貴重な成果が得られている。 このように、研究計画通りに調査が進行しており、24年9月15日に長崎歴史文化博物館、25年3月23日に兵庫県豊岡市において国絵図研究会との合同で公開の中間報告を行った。25年度、もう少し精査した上で、国際学会での報告や論文等で公表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は,①19世紀の欧米に影響を与えたシーボルト『日本』などの著作の中で,日本で収集した地図群がいかに利用されたかを検討し、その上で,シーボルト収集地図群の体系と個々の地図の研究成果を英語に翻訳し,②16世紀以来,世界の地図製作をリードしてきたオランダのライデン大学図書館で公開シンポジウムを開催するとともに,ホームページから世界に発信していくことを目的としている。このうち、①は執筆を担当する地図の分担も決まり、達成する見通しがたっている。②は、ライデン大学図書館の都合もあり、次のように修正する予定である。まず、8月上旬開催の国際地理学会議(IGU)で研究成果を発表し、9月上旬にライデン大学図書館で補充調査を行うとともに、ホームページへの掲載、ならびにポスター展示を依頼する予定である。
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