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2011 年度 実績報告書

「失われた10年」の人文地理学的検証-地域経済のジェンダー分析を通じて-

研究課題

研究課題/領域番号 23320183
研究機関奈良女子大学

研究代表者

吉田 容子  奈良女子大学, 文学部, 准教授 (70265198)

研究分担者 影山 穂波  椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (00302993)
西村 雄一郎  奈良女子大学, 文学部, 准教授 (90390707)
神田 孝治  和歌山大学, 観光学部, 准教授 (90382019)
村田 陽平  京都大学, 次世代研究者育成センター, 特定助教 (10461021)
キーワード「失われた10年」 / 地域経済・地域社会 / 再生 / 観光 / メンタ・ルヘルス / ジェンダーの視点
研究概要

本研究の目的は、「バブル経済」崩壊後の平成不況期(いわゆる「失われた10年」に起因して続く経済の低迷によって、経済的な現象が社会・文化的な現象にいかに関わっているかを検証することである。
調査対象地として、地域経済の著しい落ち込みを経験した経済圏(バブル期まで鉱工業や観光業に牽引された北海道内の地域)を取り上げ、地域経済の破綻が雇用面で大きな影響をもたらしたのみならず、地域社会や伝統的「家族モデル」を壊して地域や家族のあり方を変化させたこと、それにともない消費や福祉の面でも新しい局面を迎えたことに着目し、崩壊・変化から再生への試みをローカルレベルで把握する。そこで以下の4つの課題を設定し、現地調査を実施した。
1.地域経済の破綻による失業と再生(特に地域労働市場再編をめぐる男女雇用問題)、2.移住家族による地域社会再生の可能性、3.過疎地域におけるメンタル・ヘルスケア施設が果たす地域社会再生の可能性、4.「新しい」消費構造・消費行動が地域経済の活性化に与える影響
1.については、夕張市で現地調査を行った。石狩炭田の中心都市として栄えた夕張市は、炭鉱の閉山後、観光業に重点を置く経済基盤づくりに力を入れるものの、深刻な財政難から平成19年に財政再建団体となった。まずは、この間の地域経済変容の過程や現状を把握するため、現地観察と北海道立図書館などで資料収集を行った。2.東京・大阪・名古屋の大都市圏の退職者をターゲットに道内への移住促進をはかる「北海道移住指針協議会」の取り組みに着目し、現在この事業がどの程度具体的に展開されているかを、web上での情報を中心に収集した。3.浦河町の精神障がい者施設を事例にメンタル・ヘルスと過疎地域社会の再生を検討するため、先行研究をふまえた予備調査を実施した。4.夕張市および小樽市で現地調査を実施し、観光地化が地域経済に与える影響を検討していく上での資料収集を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

23年度研究費交付の遅れによって、夏季期間中に予定していた現地調査を予定通りの回数実施することができなかった点はあるが、研究分担者ごとの役割分担の達成具合からすると、おおむね順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

24年度は現地調査の回数を確保して、ローカルレベルでの調査を丹念に進めていく予定である。そのためには、研究対象地域の自治体や民間組織・施設への調査依頼や、地域住民へのアンケートおよび聞き取り調査の実施が必要である。研究の役割分担(4課題)に則し、それぞれ以下のように具体的に調査を進めていく。
1.夕張市の財政破綻問題および現状については、夕張商工会議所への調査を通じて詳細な資料を入手していく予定である。2.北海道移住推進協議会が大都市圏で開催している「北海道暮らしフェア」を実際に調査し、移住を検討している人々の動向を把握すると同時に、移住者の誘致に積極的に取り組んでいる道内の自治体への聞き取りや、移住した人への調査を行う。3.浦河町内の精神障がい者施設にて、メンタル・ヘルスと過疎地域社会の再生を検討するための聞き取り調査を行う。4.夕張市を中心に、観光地の変容に関する象徴的な事例について現地調査を通じて把握する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [学会発表] 被災地の観光振興とイメージ戦略2011

    • 著者名/発表者名
      神田孝治
    • 学会等名
      立命館地理会大会
    • 発表場所
      立命館大学(京都府)(招待講演)
    • 年月日
      2011-11-26
  • [図書] 『揺らぐサラリーマン生活-仕事と家庭のはざまで-』(分担執筆部分:「キャリアパターンの変容と持続-「新人類」世代以降の事例から-」pp.65-99)2011

    • 著者名/発表者名
      多賀太編著(村田陽平:分担執筆)
    • 総ページ数
      250
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
  • [図書] 『よくわかる観光社会学』(分担執筆部分:「観光客のまなざしpp.60-61」、「地理学における観光」pp.118-119、「ジョン・アーリー」pp.202-203)2011

    • 著者名/発表者名
      安村克己・堀野正人・遠藤英樹・寺岡伸吾編著(神田孝治:分担執筆)
    • 総ページ数
      212
    • 出版者
      ミネルヴァ書房

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公開日: 2013-06-26  

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