研究課題/領域番号 |
23320189
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩本 通弥 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (60192506)
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研究分担者 |
森 明子 国立民族学博物館, 戦略研究センター, 教授 (00202359)
山 泰幸 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (30388722)
重信 幸彦 国立歴史民俗博物館, 研究部, 客員教授 (70254612)
法橋 量 慶應義塾大学, 文学部, 非常勤講師 (40634192)
田村 和彦 福岡大学, 人文学部, 准教授 (60412566)
門田 岳久 立教大学, 観光学部, 助教 (90633529)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 社会‐文化運動 / アカデミー(公立/民間研究所) / 大学研究所 / ハイマートクンデ / 郷土協会 / 故郷 / エスニシティ / 国際研究者交流 |
研究概要 |
初年度実績でも記した主調査地ハンブルグにおける、大学・文化行政・市民活動をめぐる民俗学的実践と市民社会の関わりに関しては、昨年に引き続き順調に調査研究は進んでいる。今年度はその比較対照に選んだ、バイエルン州ミュンヘンとドイツ南西部バーデン地方のアカデミーや郷土協会の実態を報告する。 1ミュンヘンのアカデミー ミュンヘン大学民俗学/ヨーロッパ民族学研究所と、州立バイエルン・アカデミー/バイエルン歴史委員会付属民俗学研究所が、独立した研究拠点として並存する。両者の成立経緯と研究活動を調査したが、後者が大学講座より古い歴史を有し、研究所機能と民俗の保存再生の機能を分化させつつ今日に至っている。 2バーデン地方の郷土協会 バーディッシェ・ハイマートは地方福祉事業協会(1902年創立)とバーデン民俗学協会(1904年創立)とが1909年に合併して成立した、地域伝統文化の継承、郷土の自然環境、歴史的建造物などの保存を目的としたボランタリーなアソシエーションで、同協会本部での調査によって、活動の中心が設立当初より農村部の実態調査と生活改善の提言、及び協会以前の領邦バーデン地方という歴史的文化的地域カテゴリー、<故郷=ハイマート>の観念の形成にあったことが明晰化した。のちの新ロマン主義的民俗学が放棄する社会政策的目的をもつ研究が活動の根幹であったものの、1954年ヴュルテンベルク地方との合併で、新たな地域アイデンティティの創出に迫られている。 3ドイツ日記アーカイヴ フライブルク市に隣接するエメンディンゲンに1998年ドイツ日記アーカイヴが設立され、郷土協会的な市民自らの地域文化活動が新たな形で継承されている。普通の人々の生活世界を分析する基礎資料、日記・書簡等を蒐集するが、注目されるのは、大学研究者を顧問に据えるものの、手稿の翻字や分類整理等の実務はすべて住民ボランティアが担っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究開始初年度に、研究代表者である岩本が主たる調査対象地であるハンブルグに、比較的長期間滞在し、日本・中国・韓国という東アジアの民俗学と、ドイツ現代民俗学やそれを背後で支える社会文化運動(市民自らによる基底的民主主義を構築する市民運動)の実態や、大学やアカデミーという学的風土(哲学を土壌とした学術的展開のあり方)の相違を、十分に認識できた。このことから、2年度目である平成24年度には、韓国・中国の少壮気鋭の代表的民俗学者に、ハンブルグ大学を中心に、同市内のある社会文化運動の諸施設の諸活動の実態を、現地視察も行ってもらうなどの、若干の軌道修正的処置を施したことによって、東アジア3国間の学術的交流が進み、当初計画以上の、進捗状況であると自己評価している。 一方のハンブルグ大学の民俗学/文化人類学研究所の方でも、「ハンザ国際都市」を自認する特性を活かし、東アジア民俗学との積極的な交流を望んであり、全面的な支援・受入れを約束してくれているため、国際研究交流のみならず、計画した課題を理解し、十二分の対応をしてくれている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度報告でも触れたように、主たる調査地ハンブルグは、「ハンザ都市」(ハンザ同盟以来の都市国家の伝統を自負した称号)を自称した領主を持たなかった、古くからの国際都市(貿易港)である。華僑を中心に、諸民族との交流が極めて盛んな地であり、ハンブルグの把捉には、移民や移動も含めた、多文化状況を視野に入れる必要性から、当初計画にはなかったエスニシティ研究の視角を盛り込んだ。 最終年度は日系コミュニティーのエスニシティを、中国系・韓国系社会との比較という、東アジア三国の、移民やその定着などの実態を、フォークロリズム的観点からも明らかにすることを目標に加えることにした。
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