研究課題/領域番号 |
23320194
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
安井 眞奈美 天理大学, 文学部, 教授 (40309513)
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研究分担者 |
飯島 吉晴 天理大学, 文学部, 教授 (30184344)
岩本 通弥 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60192506)
つる 理恵子 吉備国際大学, 社会学部, 准教授 (20227474)
松岡 悦子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (10183948)
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キーワード | 出産 / 育児 / 儀礼 / 生命観 / 中絶 / 水子 / サポート / ネットワーク |
研究概要 |
本研究の目的は、近現代の出産・育児文化の変容を、文化人類学および民俗学の視点から歴史的に明らかにし、これからの方向性を示すことにある。この研究目的に向け、初年度は年3回の研究会の開催と、各自のフィールドワークを実施した。研究成果については、本科研の研究会で報告してもらい、ディスカッションを行うことによって、問題点や論点の整理を行った。 まず研究代表者の安井は、近代から現代にかけての妊娠・出産に関する環境および習俗の変容を明らかにするため、奈良県吉野郡十津川村のフィールドワークを行った。研究成果として十津川村の出産習俗の変容についてまとめ「出産-産む場所はどこなのか?」(『現代文化のフィールドワーク入門』)、近代の出産習俗の資料集『出産・育児の近代-奈良県風俗誌を読む』を編集した。 研究分担者の飯島吉晴は、妊娠・出産習俗、子どもの成長儀礼や育児に関する近代の文献を収集し、その特徴と整理を行った。この作業は2年目も継続して行い、文献リストを作成する予定である。なお、飯島も『出産・育児の近代-奈良県風俗誌を読む』に論考を発表している。岩本通弥は、近代の出産および子どもの成長儀礼が、国民儀礼として均質化されていく過程を明らかにした。ただし初年度は、ドイツでの在外研究期間と重なったため研究会は欠席し、2年目に集中的に研究を進める。松岡悦子は、現代の妊産婦と医療従事者との関係を明らかにするため、フィールドワークを継続中である。つる理恵子は、長崎県壱岐島でのフィールドワークをもとに、壱岐島での出産・育児環境を明らかにし、科研研究会にて中間報告を行った。壱岐島では親が孤立しにくい環境にあるとされ、その諸要因が提示された。なお、研究協力者の研究成果については割愛するが、各自フィールドワークを進め、順次、研究会にて発表してもらった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研のメンバー総勢12人が、初年度3月までに各自の研究費を使い、文献収集やフィールドワークをほぼ計画どおり実施することができたため。なお、年3回の研究会を開催し、フィールドワークの成果を中間報告という形で共有し、お互いに情報交換と討論を行った。討論の内容は、2年目のフィールドワークにも充分に活かされると考える。また、常に研究の進捗状況を確認しあい、3年目の研究成果報告会(シンポジウム)開催を視野に入れたディスカッションも行った。 このような状況から、「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年の計画は、1、年3回の研究会の開催、2、各自のフィールドワークの継続、3、フランスでの情報交換である。 3年目に実施する研究成果報告会(シンポジウム)の準備として、研究代表者の安井がフランスへ行き、研究協力者のピコーネ氏らと情報交換および3年目の研究成果報告会の打ち合わせを行う。 もっとも効果的な日程として、各自のフィールドワークが順調に進み、ある程度の成果が出た段階(今年度後半)で、その成果をまとめて安井が渡仏する予定である。また研究会では、初年度と同様、ディスカッションにも時間を割きたい。 また、3年目の研究成果報告会と並行させて、各自に報告書のための原稿を用意してもらい、科研終了時に報告書を刊行する予定である。
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