研究課題/領域番号 |
23330002
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
宇佐美 誠 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (80232809)
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研究分担者 |
長谷川 晃 北海道大学, 法学研究科, 教授 (90164813)
森村 進 一橋大学, 法学研究科, 教授 (40134431)
後藤 玲子 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (70272771)
吉原 直毅 一橋大学, 経済研究所, 教授 (60272770)
瀧川 裕英 大阪市立大学, 法学研究科, 教授 (50251434)
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キーワード | 法哲学 / 正義論 / 責任 / 自由 / 多文化主義 |
研究概要 |
本研究の目的は、グローバルな正義を、ローカルな責任と密接に連結しつつ考察することにある。途上国の貧困問題への学問的応答である地球規模の分配的正義に関する国際的研究において、先進国市民の加害自制責任と正義実現の責任主体とに関して、考察が近年急速に進展しているという最新の研究動向を踏まえ、本研究は、グローバルな正義の理論分析と実施制度の構想の両面においてローカルな責任論を展開する。 上記の研究目的を効果的に達成するため、正義班・責任班・多文化班を設けて、班単位でサブ・テーマに特化した研究活動を遂行した。また、それと並行して全体会合を開催することにより、各班の成果の共有・統合化を推進した。その上で、3ヶ年度の研究計画全体のなかで<基礎作業段階>として位置づけられた本年度には、(1)文献の収集・分析による学問的蓄積の共有化、(2)現在の研究状況の把握、(3)法哲学的論点の析出、(4)海外研究者との協働等による先端的研究の把握を行った。 その結果、まず班単位および全体の研究会合を通じて、(1)正義思想史の蓄積の共有化と(2)グローバル正義論の研究状況の把握ができた。また、(3)に関連して、宇佐美によるグローバルな正義と人権の考察、森村による法概念の根本的考察、吉原による搾取の経済学的分析、瀧川によるドゥオーキン平等論のグローバルな拡張など、数多くの予備的研究成果を生み出すことができた。(4)については、本研究会が、グローバルな正義とナショナリティに関する国際セミナーや、カタストロフィと正義に関する国際会議を後援し、長谷川・後藤・神島らが研究報告等を行って、国内外の有力な研究者との意見交換を重ねた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究会合や文献収集を通じた研究状況の把握や論点の析出などに加えて、当初の計画を上回る多数かつ多様な予備的研究成果や関連する研究成果を、論文・国際会議報告等で公表することができた。また、海外研究者との協働としては、二件の国際会議等を後援して活発な意見交換を行えた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の<基礎作業段階>である今年度における大きな研究成果を生かしつつ、<構築・展開段階>の来度には、グローバル正義の理論構築とその彫琢を中心として、いっそう精力的に研究活動を推進する。
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